西日本皮膚科
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症例
歩行困難をきたした仙腸関節炎を伴い,扁桃摘出にて軽快した掌蹠膿疱症の1例
藏岡 愛山岡 俊文小川 文秀佐藤 伸一関山 華子
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2009 年 71 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

32歳,女性。初診の3ヶ月前に慢性副鼻腔炎を指摘された。初診の3週間前,両手掌の紅色丘疹とともに,右臀部痛が出現し,次第に歩行困難となった。掌蹠は膿疱を認めるようになり,2007年4月上旬,精査加療目的で当科紹介入院となった。MRIで仙腸関節炎を認め,掌蹠膿疱症性骨関節炎と診断した。サラゾスルファピリジン内服と慢性副鼻腔炎に対する抗生剤内服で皮疹,関節症状ともに軽快した。しかし,歩行リハビリ開始に伴い,関節症状が再燃したため,扁桃摘出術も施行したところ,歩行できるまでに軽快を認めた。文献上の歩行困難をきたした掌蹠膿疱症の症例は,いずれも仙腸関節や腰椎に炎症があり,30歳代の女性に多く認められた。掌蹠膿疱症性骨関節炎に対する確立された治療法はなく,個々の症例に合わせて治療法が選択されている。内服治療のみでは軽快を認めない症例でも扁桃摘出術を追加して行った後では日常生活をほぼ不自由なく送ることができるようになった症例も報告されており,症状の強い難治な掌蹠膿疱症性骨関節炎に扁桃摘出術は有効であると考えた。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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