西日本皮膚科
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症例
電撃性紫斑を呈したCitrobacter freundiiによる敗血症の1例
澁谷 博美高安 進佐藤 崇史
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2009 年 71 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

症例は基礎疾患のない50歳男性。突然の腹痛出現し造影CTにて上腸管膜動脈解離と診断された。腸管虚血を疑う症状はなかった。絶食,補液管理としたが5日後にbacterial translocationによると思われる敗血症のため高熱,DIC,ショック症状をきたした。2日後,両手指,足趾,鼻尖部は黒色となり左前腕に壊死,出血性水疱形成。両下腿,両足は暗赤色となった。下腿の組織像では真皮小血管の壊死,血栓形成,赤血球漏出を認めた。血液,便,皮膚の水疱穿刺液からCitrobacter freundiiが検出された。入院22日目に両上肢,右下肢の切断を行った。後脛骨動静脈に血栓形成,中膜,内膜肥厚による狭窄,静脈壁壊死を認めた。その後も持続血液濾過透析,種々の抗生剤投与,ステロイド投与を行ったが,切断端の創は離開し,次第に全身状態は悪化した。更に多臓器不全をきたし,2ヶ月後にサイトメガロウイルス感染症を併発し死亡した。剖検により上腸間膜動脈解離が確認されたが,解離部から末梢の腸管壊死は認められなかった。Citrobacter freundiiによる敗血症により生じた電撃性紫斑の最初の症例である。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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