西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
膠原病に伴った指趾潰瘍の3症例
竹尾 直子赤嶺 美鈴片桐 一元藤原 作平佐藤 精一清水 史明森山 かおり石井 宏治竹島 直純岩田 英理子葉玉 哲生澁谷 博美
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 71 巻 2 号 p. 131-136

詳細
抄録

症例1は76歳,女性,右第5趾皮膚潰瘍を生じ来院した。関節リウマチを伴っていたが活動性は低かった。血管造影では右脛骨,腓骨中部から末梢は途絶し,足底,足背部の末梢の血流は不良であった。中足趾関節部で切断術を施行したがその後も他の足趾の爪囲に皮膚潰瘍の出没が続いている。症例2は64歳,女性,全身性強皮症を伴い右第1趾皮膚潰瘍を生じ来院した。血管造影では末梢では前脛骨,後脛骨動脈は途絶しており,右後脛骨動脈バイパス術後に中足趾関節部で切断した。症例3は40歳,女性,右第2指尖部壊疽を生じ来院した。混合性結合組織病を伴いプレドニゾロン1日5mgで加療中であった。血管造影では左右の尺骨動脈は手関節部で途絶し,右第1,2,3指末梢で両側固有指動脈が途絶していた。プレドニゾロンを1日30mgに増量しワルファリンカリウムを開始し壊疽の進行は止まった。3症例とも抗セントロメア抗体が高値であった。膠原病の患者において特に抗セントロメア抗体が高値の場合,肢端潰瘍の治療には膠原病の病勢の把握が重要と考えられる。

著者関連情報
© 2009 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top