2009 年 71 巻 2 号 p. 153-155
80歳,男性。初診の約2週間前に肛門部に出血を伴う腫瘤を自覚した。初診時,肛門管入り口(肛門縁)3時方向に径10×20mmの,潰瘍を伴い一部に黒色の色素沈着を伴う紅色結節を認めた。局所麻酔下に全摘し,病理組織および免疫組織化学的にBer-EP4陽性であり,基底細胞癌と診断した。肛門部の基底細胞癌は比較的まれであり,また鑑別診断として,類基底細胞癌を考える必要がある。類基底細胞癌は,組織学的に基底細胞癌とほぼ同様の像を呈するが予後不良の疾患であり,鑑別には注意が必要である。