2010 年 72 巻 4 号 p. 349-352
1歳,男児。感冒様症状出現の約2週間後より顔面,両側の手,膝蓋,足に粃糠様,小葉状の鱗屑を付する角化性紅斑局面が出現。特徴的な臨床所見と病理組織学的所見より毛孔性紅色粃糠疹と診断。エトレチナート内服,カルシポトリオール軟膏外用を開始したが変化ないため,パルミチン酸レチノール内服に変更。約1ヵ月で皮疹は著明に改善した。本症は血清ビタミンA値が正常下限であったが,不足はしていなかった。パルミチン酸レチノールが著効したのは,ビタミンAの補正によるのではなく,ビタミンAの薬理作用によるものと考えた。