西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
痒みを伴うアレルギー性皮膚疾患患者の抗ヒスタミン薬に対する希望と満足度に関する研究
三好 研中島 英貴佐野 栄紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2011 年 73 巻 1 号 p. 61-68

詳細
抄録
アレルギー性皮膚疾患患者574名を対象に,抗ヒスタミン薬への希望として「効果の高さ」と「眠気の少なさ」のどちらを優先するかを問診票によって調査を行い,前者ではオロパタジン塩酸塩を,後者ではフェキソフェナジン塩酸塩を投与し,それぞれ治療効果,安全性,患者満足度を調査した。患者の76%が抗ヒスタミン薬に「効果の高さ」を優先して希望し,彼らの満足度は,「非常に満足」43%,「やや満足」36%,「どちらでもない」21%であった。一方,「眠気の少なさ」を優先して希望したのは22%で,彼らの満足度は,「非常に満足」29%,「やや満足」50%,「どちらでもない」14%,「非常に不満」7%であった。医師から処方薬の希望を聞かれることについて,「安心できる,満足感や納得感が得られる」と回答した19 例の満足度は「非常に満足」47%,「やや満足」53%で,「よく分からないので医師に任せた方が安心できる」と回答した36 例の満足度は,「非常に満足」36%,「やや満足」33%,「どちらでもない」28%,「非常に不満」3%であった。市販のかぜ薬で「眠気で困ったことがある」患者の半数近くが「効果の高さ」を優先して望んでいた。患者に薬剤に関する希望を聞き取って処方薬を選択することにより,患者の安心感や満足度を高めることができることが示唆された。
著者関連情報
© 2011 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top