西日本皮膚科
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73 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
  • 水本 一生
    2011 年 73 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    症例は74歳,女性。39℃を超える発熱と左上腕および背部にそう痒を伴う暗紫色の持続性皮疹を認め,血清フェリチンが高値を示した。精査の結果,血清IL-18値が高値であったため,成人Still病と診断し,プレドニゾロン30mg/日投与にて治療を開始した。経過中,発熱の再燃を認めたため40mg/日に増量したところ,速やかに解熱をみた。その後,プレドニゾロンを漸減し,初診より70日後現在,5mg/日の投与で再燃をみていない。本症例はYamaguchiらの提唱する成人Still病の分類基準は満たさなかったが,近年の本疾患における知見をもとに血清IL-18値を測定し,早期治療開始が可能であった。血清IL-18など炎症性サイトカインの測定が本疾患の早期診断に有用と考えられたので報告した。
  • 千葉 貴人, 深川 修司, 田代 あかり, 林 亜矢子, 師井 洋一, 古江 増隆, 原田 起代枝, 宮崎 敬子, 和田 美香
    2011 年 73 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    圧迫に対する組織反応は褥瘡の発生を理解する上で重要であるが,これまで褥瘡組織を検討した報告は少ない。今回われわれは,他疾患との鑑別のため,紅斑から皮膚生検を施行し,褥瘡の診断に至った患者4例について組織学的検討を行った。いずれも肉眼的に紅斑を呈する症例であったが,組織学的には,毛細血管の拡張と増生とともに赤血球の漏出が存在するもの,表皮から皮下組織まで広範に壊死しているもの,毛のう部の膠原線維間の線維化と周囲の炎症性細胞浸潤が認められるもの,表皮の偽癌性増殖と真皮の炎症細胞浸潤像を呈すものなど種々の組織学的変化が確認された。以上から,肉眼的には同様の紅斑でも,組織学的に,創傷治癒過程の様々な組織像を呈することが分かった。さらに,これらの組織を過去に報告された褥瘡組織と比較検討した。
  • 多良 明子, 大川 毅, 井上 卓也, 三砂 範幸, 成澤 寛, 藤田 一郎
    2011 年 73 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    生後1日,男児。出生時より顔面と前胸部に環状の紅斑が多発していた。母子ともに抗核抗体,抗SSA抗体・抗SS-B抗体が非常に高値であり,新生児エリテマトーデス(NLE)と診断した。先天性房室ブロックの合併はなかった。経過中,潰瘍化するほどの激しい皮膚症状を呈したが,生後3ヵ月頃より患児の自己抗体価は低下し始め,生後8ヵ月で紅斑は消退した。
  • 出口 弘隆, 中村 充貴, 中野 純二
    2011 年 73 巻 1 号 p. 23-25
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    経過中,急速に進行した肺小細胞癌を合併した皮膚筋炎患者について報告した。症例は76歳,女性。顔面,上肢,体幹のそう痒性紅色皮疹,四肢の疼痛,全身倦怠感を主訴に当科受診。臨床症状,血清CK高値,赤沈亢進より皮膚筋炎と診断された時には悪性腫瘍の合併は認められなかった。プレドニゾロン(PSL)50mg/日より開始し漸減。約3ヵ月後にPSL 15mg/日にて退院。10mg/日にて経過観察していたところ,その3ヵ月後に皮膚筋炎が再燃した。この時点で多臓器転移を伴う肺小細胞癌が認められた。肺癌に対し化学療法や放射線療法が行われ腫瘍の縮小がみられたが,呼吸不全にて初診8ヵ月後に死亡した。悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎の臨床症状の特徴について若干の検討を加えた。
  • 伊藤 優佳子, 後藤 瑞生, 甲斐 宜貴, 波多野 豊, 片桐 一元, 藤原 作平, 柳 輝希, 秋山 真志, 清水 宏
    2011 年 73 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    在胎38週,女児。出生前の超音波検査にて,顔貌より道化師様魚鱗癬を疑われ,帝王切開にて出生した。全身の皮膚表面が厚い板状の角質に覆われており,著明な眼瞼外反,口唇突出開口,耳介の変形を認め,その特徴的な臨床像から道化師様魚鱗癬と診断した。組織所見では著明な角質増殖を認め,電子顕微鏡検査にて角層の細胞質内に多量の脂肪滴の蓄積を認めた。遺伝子検査では,父親はABCA 12 遺伝子にミスセンス変異をヘテロで2つ有しており,患児には同様の変異がホモで認められた。母親には明らかな変異を認めなかった。出生当日よりエトレチナートの投与を開始し,局所処置としてワセリン外用と,角質除去を行った。その後,徐々に角質は減少し,眼瞼の外反も改善した。生後2年9ヵ月となる現在,皮膚の潮紅を認めているが,特に合併症もなく生存している。
  • 近藤 由佳, 大久保 ゆかり, 川口 敦子, 臼井 佳恵, 入澤 亮吉, 三橋 善比古, 泉 美貴
    2011 年 73 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    70歳,女性。初診:2008年11月。抗リン脂質抗体症候群で加療中であった。半年前に背部に結節を自覚し,初診時,背部に,表面暗紅色調,径1cmの皮内から皮下に及ぶ結節を認めた。周辺に発赤や浸潤はなく,下床との可動性は良好であった。粉瘤を疑い全摘出した。術中肉眼所見は常色からやや黄色調の結節で,周囲との境界は明瞭であった。組織学的には,真皮深層から皮下脂肪織の境界明瞭な結節で,内部には紡錘形~類円形の腫瘍細胞が充実性に増殖しており,軽度の核異型を認めた。免疫組織所見は,S-100蛋白,c-kit,vimentinは陽性,HMB-45は陰性,MelanAは弱陽性であった。p53は過剰発現していた。以上より転移性悪性黒色腫を考え,拡大切除術を施行した。原発巣検索のため行った各種の全身検索では原発巣を疑う病変を認めず,primary dermal melanomaと考えた。術後1年6ヵ月の現在,再発・転移はない。
  • 増地 裕, 江川 尚男, 小林 計太
    2011 年 73 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    45歳,女性。後頭部に3.5×3.5×1.5cmの弾性軟な半球状腫瘤。病理組織では真皮から皮下脂肪織にかけて単一の嚢腫構造を呈しており,内腔には主に成熟脂腺細胞が乳頭状に分葉増殖する部位と,基底細胞様細胞が細胞異型や核分裂像を伴って増殖する部位とが混在していた。良性から悪性の境界型脂腺腫瘍だが従来の分類では鑑別困難であり,2002年に安齋らが提案した低悪性度脂腺癌や,Muir-Torre症候群に合併するcystic sebaceous tumor の組織学的特徴に当てはまる点が多いと考えた。切除後3年間の経過で局所再発を認めず,内臓悪性腫瘍の合併はない。
  • 末次 香織, 斎藤 万寿吉, 坪井 良治
    2011 年 73 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    43歳,男性。2008年2月より顔面に常色の硬い小結節が出現し,急速に個数が増加した。HIV感染症に対して2008年10月初めより多剤併用療法を開始したところ,1ヵ月後には約半数のものに強い紅暈を生じ,さらに1ヵ月後には小結節は無治療ですべて消失した。伝染性軟属腫発症時のCD4陽性リンパ球数(以下CD4値)は27/μl,治癒時CD4値は342/μlであった。自験例を含め,当科において経験したHIV感染者に生じた伝染性軟属腫6例を合わせて報告する。伝染性軟属腫はCD4値が100/μl以下と低値であるときに発症することが多く,多剤併用療法施行によりCD4値が回復すると伝染性軟属腫も治癒する傾向があると思われる。
  • 宮地 素子, 國武 律子, 廣田 暢雄, 今福 信一, 中山 樹一郎
    2011 年 73 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    63歳,男性。肺結核に対し,イソニアジド,リファンピシン(RFP),エタンブトール,ピラジナミドにて治療開始後,多剤耐性結核と判明し,治療開始2ヵ月後よりエチオナミド(TH),ストレプトマイシン(SM),サイクロセリン(CS),レボフロキサシン(LVFX)に変更したが肝機能障害が出現しTHを中止した。肺結核治療開始8ヵ月後よりリファブチン(RBT)を追加。9ヵ月後より両下腿に紅斑が出現して来た。ステロイドの外用や抗アレルギー剤の内服を行ったが皮疹は拡大した。肺結核治療終了後,精査を希望し当科受診。手背に紫紅色局面や頬部に色素沈着が認められた。手背皮膚の病理組織像は扁平苔癬様の変化であった。RBT,LVFX,CS,RFP,SMの薬剤添加リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test : DLST)は陰性,パッチテストは48,72時間後の判定でCSが陽性であった。肺結核の治療終了後,皮膚症状は軽快した。以上よりCSによる扁平苔癬型薬疹と診断した。結核は,耐性菌の出現を防ぐため多剤併用を標準治療としている。治療中,肝障害,発熱,薬疹などの副作用も多い。副作用出現時は原因薬剤を早くつきとめ治療を再開するため,パッチテストなどにより原因薬剤を同定することが望ましい。
講座
統計
  •  
    篠田 英和, 関山 華子, 西本 勝太郎
    2011 年 73 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    1990年から2009年までに当診療所を受診した顔面白癬272例について検討を加えた。年間平均13.6例。最年少は生後26日男児,最高は89歳女性であり,男女比は129:143であった。原因菌種別ではTrichophyton rubrum (以下 T. rubrum)156例(男72,女84),Microsporum canis (以下M. canis)43例(男8,女35),Trichophyton tonsurans (以下T. tonsurans)39例(男37,女2)など3菌種で88%を占めていた。年齢層と菌種の関係をみると,小中学生,高校生グループではT. tonsuransM. canis が,成人グループ(20~80歳代)ではT. rubrum が主要原因菌種であった。臨床像では定型疹(環状紅斑,頑癬)が182例,非定型疹90例であり,非定型疹としては円板状紅斑,落屑性紅斑,ステロイド修飾白癬がみられた。ステロイド修飾白癬は成人女性に多く,原因菌種としてT. rubrum が多かった。定型疹の主要原因菌種はT. rubrumM. canis であり,T. tonsurans による臨床像は環状紅斑(17例)と円板状紅斑(16例)が同頻度でみられた。2個以上の病巣をもつ顔面白癬は頭部白癬の合併が22%と,単発例の4%より高く,うち9例がTrichophyton violaceum(glabrum)T. tonsurans などの好人性菌によるblack dot ringwormを合併していた。また耳介白癬の合併が42例(15%)みられた。当院受診前の診断として湿疹・皮膚炎が100例,膿痂疹3例などがあり,膿痂疹と誤診されていた3例からはM. canis が分離された。顔面白癬の原因菌種や臨床像は多彩であり,誤診を招くことが多いため,「顔面白癬」を病型として独立させ臨床医の関心と注意を喚起させることが必要である。
治療
  • 三好 研, 中島 英貴, 佐野 栄紀
    2011 年 73 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    アレルギー性皮膚疾患患者574名を対象に,抗ヒスタミン薬への希望として「効果の高さ」と「眠気の少なさ」のどちらを優先するかを問診票によって調査を行い,前者ではオロパタジン塩酸塩を,後者ではフェキソフェナジン塩酸塩を投与し,それぞれ治療効果,安全性,患者満足度を調査した。患者の76%が抗ヒスタミン薬に「効果の高さ」を優先して希望し,彼らの満足度は,「非常に満足」43%,「やや満足」36%,「どちらでもない」21%であった。一方,「眠気の少なさ」を優先して希望したのは22%で,彼らの満足度は,「非常に満足」29%,「やや満足」50%,「どちらでもない」14%,「非常に不満」7%であった。医師から処方薬の希望を聞かれることについて,「安心できる,満足感や納得感が得られる」と回答した19 例の満足度は「非常に満足」47%,「やや満足」53%で,「よく分からないので医師に任せた方が安心できる」と回答した36 例の満足度は,「非常に満足」36%,「やや満足」33%,「どちらでもない」28%,「非常に不満」3%であった。市販のかぜ薬で「眠気で困ったことがある」患者の半数近くが「効果の高さ」を優先して望んでいた。患者に薬剤に関する希望を聞き取って処方薬を選択することにより,患者の安心感や満足度を高めることができることが示唆された。
  • 進藤 真久, 山田 七子, 山元 修
    2011 年 73 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル 認証あり
    65歳以上の皮膚そう痒症および皮脂欠乏性湿疹患者に対して,セチリジン塩酸塩(ジルテック®錠)の有効性と安全性について検討した。痒みの推移および掻破痕の推移について,2週後,4週後において有意な改善がみられた。有害事象はみられず,総合評価の有用度ではすべての例で有用であった。セチリジン塩酸塩10mgを2週間経口服用し,全般改善度が「軽度改善」以下の症例,あるいは患者満足度が「やや不満」以下の症例に対して,セチリジン塩酸塩1日1回20mgに増量してその改善効果を検討した。結果として,セチリジン塩酸塩1日1回20mgに増量することによって,10mg1日1回服用で満足のいく症状改善効果を得られなかった症例の症状を有意に改善できた。また,全般改善度においてもセチリジン塩酸塩20mg1日1回服用に変更後,有意な改善が認められた。セチリジン塩酸塩は10mgの通常用量2週間の内服により76%で症状の改善がみられ,通常用量で効果不十分例でも20mgに増量することにより,合計で89%の改善度を示した。重篤な副作用もみられず,安全性も高く,有用な薬剤の一つと考えられた。
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