西日本皮膚科
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症例
リンパ節転移を伴ったMucinous Carcinoma of the Skinの1例
進藤 真久中島 圭子吉田 雄一山元 修三宅 成智竹内 英二
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2011 年 73 巻 2 号 p. 157-161

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抄録

77歳,女性。初診の3年前に左側頭部に腫瘤が出現し徐々に増大した。初診時,同部に55×30mmの表面にびらんを伴う紅色腫瘤を認め,左耳前部,左下顎角部に硬いリンパ節を触知した。腫瘤辺縁のダーモスコピーでは,whitish network に囲まれた桑実状の淡褐色小球と辺縁の毛細血管拡張がみられた。ガリウムシンチグラフィでは左側頭部と左耳前部,左下顎角部への集積がみられた。造影MRIでは,左側頭部に皮膚腫瘤があり,頭蓋骨や頭蓋内への明らかな進展はみられなかった。左耳前部,耳下腺内,左上内深頚領域,副神経領域に多発するリンパ節腫大がみられた。生検にて真皮に線維性隔壁によって分けられた粘液様物質中に浮遊するように腫瘍細胞がみられmucinous carcinoma of the skin と診断した。耳下腺を含めた耳前部リンパ節と頚部リンパ節の郭清術後,腫瘤の肉眼的辺縁より1cm離して切除し分層植皮術を施行した。摘出したリンパ節にも,組織学的に側頭部腫瘤と同様の腫瘍細胞がみられ,リンパ節転移をきたしていた。Mucinous carcinoma of the skin は,局所再発しやすいが転移はまれであるといわれている。現在まで本邦で報告された転移がみられた4例の報告例に自験例を加えて検討した。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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