73歳,女性。初診の4ヵ月前より左下腿に虫刺症様の皮疹が出現し,掻破により拡大,潰瘍化した。その3ヵ月後,周囲に新たな紅色結節が出現した。2009年2月精査加療目的で当科を紹介され受診。当時左下腿に数個の中央にびらんを伴った暗紅色結節を認めた。組織片の培養で2週後,25℃小川培地に
Mycobacterium marinum (
M. marinum )を分離し,同菌による非結核性抗酸菌症と診断した。
M. marinum 感染症は手や前腕が好発部位であり,下腿での発生は稀である。本例では明らかな海水や熱帯魚との接触歴はなく,感染経路は不明であった。塩酸ミノサイクリンおよびレボフロキサシンの内服にて6ヵ月後治癒した。
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