西日本皮膚科
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症例
経過中に皮膚潰瘍を伴った皮膚筋炎の 1 例
米倉 直美古場 慎一森 槙子北山 明日香三砂 範幸成澤 寛
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2013 年 75 巻 3 号 p. 215-219

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抄録

73 歳,女性。両手掌,体幹にそう痒を伴う皮疹が出現し,全身倦怠感,体重減少,食欲低下,下肢の脱力も伴った。皮膚筋炎の診断基準を満たし,ベタメサゾン 3 mg/日内服を開始したが症状の改善に乏しく,4-4diaminodiaphenylsulfone (以下DDS) 100 mg/日内服を追加した。その後,一旦症状は改善しステロイドおよび DDS を漸減したところ,手指および肘関節に疼痛を伴う皮膚潰瘍を形成し,病理組織学的所見では壊死性血管炎を認めた。プレドニゾロン 30 mg/日および DDS 100 mg/日にそれぞれ増量し,疼痛および潰瘍は改善した。約2 年後に同様の皮膚潰瘍が再発したが,ステロイドの投与量は変更することなく DDS の増量のみで潰瘍の症状は軽快した。皮膚筋炎に生じる皮膚潰瘍は外的刺激をうけやすい部位に好発し,皮膚潰瘍を併発する皮膚筋炎はステロイド治療抵抗性を示すことが多い。自験例では DDS を併用することで症状の改善がみられ,自験例のように疼痛の強い皮膚潰瘍を伴うステロイド治療抵抗性の皮膚筋炎には,DDS を併用することも治療選択肢の一つであると考えた。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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