69 歳,男性。2007 年 9 月,両手背,顔面に紅斑が出現し,生検を施行したところ全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus : 以下 SLE) が疑われ当科を受診した。抗核抗体 (ELISA) : 21.2(+), 抗 dsDNA 抗体陽性,抗 SS-A 抗体陽性,C3 は正常,C4 は 2.0 mg/dl 以下,CH50 は 10.0 U/ml以下と著明に低値であった。プレドニゾロン内服および遮光で加療し皮疹は軽快したが全経過を通じて C4 の著明な低値は持続していたことより,当初自験例は C4 欠損症を伴った SLE と考えた。しかし,さらなる溶血活性による補体の精査を施行したところ C4 のみではなく,古典的経路の補体成分である C1 および C2 活性の著明な低値も認めた。また,EDTA 血漿を用いて補体を測定したところ C4,CH50 ともに著明に低値のままであり cold activation 現象による補体の低下はみられなかった。これらの結果により自験例の C4 低値は遺伝的 C4 欠損症によるものではなく,免疫複合体による古典的経路の活性化のために C4 が著しく消費されたことによると考えた。
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