西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
抗 VII 型コラーゲン抗体価の経時的測定が有用であった後天性表皮水疱症の 1 例
澤城 晴名白田 阿美子金岡 美和中村 和子橋本 隆高橋 一夫相原 道子
著者情報
ジャーナル 認証あり

2013 年 75 巻 5 号 p. 409-414

詳細
抄録

49 歳,女性。2008 年4 月より口腔粘膜に水疱,びらんが多発し,徐々に顔面,頚部にも小指頭大までの緊満性水疱が出現した。組織学的に表皮下水疱を認め,蛍光抗体直接法では表皮基底部に IgG,C3c が線状に陽性であった。1 M 食塩水.離皮膚を用いた蛍光抗体間接法では真皮側に IgG が線状に陽性,真皮抽出液を用いた免疫ブロットでは患者血清は 290 kDa 抗原と反応し,後天性表皮水疱症と診断した。プレドニゾロン (PSL)30 mg/day では皮疹の増加を抑制できず,50 mg/day への増量,エンドキサンパルス療法,二重濾過血漿交換療法を開始したところ皮疹は速やかに軽快した。しかしPSL 漸減,エンドキサンパルスの終了に伴い再燃し PSL を 10 から 15 mg/day へ増量し,2 回目エンドキサンパルスを施行したが十分な効果は得られなかった。そこでコルヒチンと DDS の併用を開始したところ皮疹は速やかに消退した。自験例において,抗VII型コラーゲン ELISA キットを使用し,3 年にわたる経過の抗体価を測定した。治療経過を通して皮疹重症度の推移と抗体価の相関を認めた。本症例の如く,比較的治療抵抗性の後天性表皮水疱症の重症度の客観評価,治療法の選択,また,その実施タイミングを評価判断する上で,同抗体価の測定が極めて有効と考えた。

著者関連情報
© 2013 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top