西日本皮膚科
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症例
Fibrous Hamartoma of Infancy の1例
大川 智子中村 和子池澤 優子和田 秀文山中 正二毛利 忍相原 道子
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2014 年 76 巻 2 号 p. 92-96

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抄録

乳児線維性過誤腫 (fibrous hamartoma of infancy : FHI) は乳幼児に発生する比較的稀な皮下軟部組織腫瘍である。右上腕に FHI を生じた1歳女児の症例を報告する。生後 5 カ月頃より,右上腕に皮下腫瘤が出現した。徐々に増大傾向が認められた。11 カ月頃より,皮下腫瘤の表面に発毛がみられた。初診時,右上腕に有毛性の大豆大の弾性硬,比較的境界明瞭,下床との可動性良好な皮下腫瘤を触知した。皮下腫瘍摘出術を行い,皮下脂肪織内に存在する白色の充実性腫瘍 (17×17× 5 mm) を摘出した。病理組織学的に交錯する線維組織,成熟脂肪細胞,幼若な間葉細胞巣の三要素が混在しており,FHI と診断した。FHI は交錯する膠原線維,未分化間葉細胞巣,成熟脂肪組織の 3成分で構成されるのが特徴である良性腫瘍で,比較的再発は稀である。術後,6 歳 9 カ月に至るまで再発はみられていない。乳児期に発生する皮下腫瘤では本疾患も鑑別に挙げる必要がある。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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