西日本皮膚科
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症例
臭素疹の1例
橋本 安希久富 万智子古場 慎一大川 毅三砂 範幸松尾 宗明成澤 寛
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2014 年 76 巻 5 号 p. 478-481

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抄録

26 歳,男性。難治性てんかんに対し各種抗てんかん薬に加え,13 歳時より臭化ナトリウムの内服が追加された。18 歳頃より顔面に紅色丘疹・膿疱・結節が出現し,尋常性痤瘡として加療されていたが難治であった。さらに 26 歳時に下肢に膿疱を伴う赤褐色局面が出現した。病理組織学的には表皮の肥厚と偽癌性増殖,毛包の拡大と毛包内および毛包周囲への好中球を主体とした稠密な炎症細胞浸潤がみられた。 以上の臨床症状,病理組織学的所見および臭化物の内服歴より臭素疹と診断し,臭化物内服の中止により皮疹は消退傾向を示した。近年難治性てんかんに対する臭化物の有効性が見直され,これに伴い若年層での臭素疹の報告が増加している。臭素疹の特性を念頭においた上で,青年期の痤瘡様の皮膚症状についても十分な鑑別を行うべきと考える。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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