西日本皮膚科
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治療
指趾粘液囊腫の穿刺排液テーピング療法について
―― 自験 116 症例 123 病変の検討 ――
成田 博実
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2015 年 77 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

2009 年 10 月から 2014 年 2 月までに経験した指趾末節部背側の指趾粘液囊腫 116 症例,122 指趾 123 個について報告した。年齢性別,部位,爪甲の縦走陥凹・ヘバーデン結節の有無について調べた。また,穿刺排液後にテーピングによる圧迫療法を行ったので,その有用性について検討した。年齢は 28~87 歳で,平均 62.0 歳。男女比は男 48 例(40%),女 71 例(60%)であった。部位は手指 103 個,足趾 20 個で,中指が46 個と最も多く,第 5 趾には囊腫を認めなかった。爪甲の縦走陥凹,手指のヘバーデン結節の有無について,それぞれ 60 指趾,58 指で検討を行い,27 指趾(45%),23 指(40%)に認めた。テーピングによる圧迫療法の治療経過については,経過の判明した 45 指趾 45 個中,治癒が 39 指趾 39 個で治癒率は 87%であった。その治癒病変の穿刺回数は 0~19 回で,平均 2.8 回であった。また,治癒部のテーピング期間は 1 週~29 カ月で平均 4.4 カ月であった。穿刺テーピング法は,簡便で日常生活の中で行えて,低侵襲性で非常に有用な手技と考えた。また,指趾粘液囊腫の圧迫で生じる爪甲縦走陥凹は,診断と治癒判定に役立つことも強調した。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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