西日本皮膚科
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症例
乳児の好酸球性膿疱性毛包炎の 1 例
増田 香奈藤山 幹子宮脇 さおり鉾石 真理子佐山 浩二
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2015 年 77 巻 5 号 p. 469-472

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抄録

4 カ月,男児。初診 1 カ月前頃より腹部に丘疹が出現し,近医小児科を受診した。ステロイド軟膏の外用や抗生物質の内服で加療されるも皮疹が増悪するため当科を紹介された。当科初診時,躯幹に中央白色調で紅暈を伴う丘疹と色素沈着が散在しており,頭部にも黄白色丘疹を認めた。血液検査で末梢血好酸球数は 1387/μl と増加していた。病理組織で真皮全層の血管周囲にリンパ球と好酸球の浸潤があり,毛包壁に好酸球の浸潤を認めたことより,好酸球性膿疱性毛包炎と診断した。ステロイド外用剤で加療し 6 カ月後には皮疹は消退し,末梢血好酸球数も正常範囲まで低下した。乳児の好酸球性膿疱性毛包炎は海外では多く報告されているが本邦では少ない。乳児発症の好酸球性膿疱性毛包炎は,成人の好酸球性膿疱性毛包炎と異なり遠心性の拡大がみられず,ステロイド外用が奏効し,2∼3 年の経過で治癒する特徴を示す。 診断には皮膚生検が必要であり,乳児の頭部,躯幹に出現する毛包炎をみたときには,好酸球性膿疱性毛包炎を疑い皮膚生検し,確定診断を行うことが必要である。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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