西日本皮膚科
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症例
重症歯周病を伴い上肢のみに症状を呈した Buerger 病の 1 例
齊藤 華奈実佐藤 俊宏佐藤 愛子柴冨 和貴田代 舞波多野 豊
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2015 年 77 巻 5 号 p. 465-468

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抄録

56 歳,男性。1 カ月半前より,手指のチアノーゼ,冷感としびれ,左第 5 手指尖端に有痛性潰瘍が出現して当院を受診した。36 年間の喫煙歴があったが,その他の心血管危険因子 (高血圧,脂質異常,糖尿病) は認めなかった。閉塞性動脈硬化症( arteriosclerosis obliterans:ASO) は否定的であった。血液検査では膠原病も否定的で,凝固系の異常も認めなかった。手指尖端部の皮膚生検では血管炎を示唆する所見を認めなかった。右上肢動脈造影で手関節より末梢の指動脈の途絶と corkscrew 様の側副血行路を認め,Buerger 病と診断した。重症歯周病を合併しており,禁煙と薬物治療に加えて歯周病の加療も開始し,3 カ月後にはチアノーゼの消失,左第 5 手指尖端部潰瘍の上皮化を認めた。多くの研究で,Buerger 病の成因と病状の悪化に歯周病菌が関与している可能性が指摘されており,本症例もその可能性を支持する症例と考えた。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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