西日本皮膚科
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症例
日本人高齢者に発症した BL 型ハンセン病の 1 例
大平 葵山口 さやか新嘉喜 長大久保 優子宮城 拓也高橋 健造上里 博
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2015 年 77 巻 5 号 p. 497-502

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抄録

81 歳,男性。父親にハンセン病の罹患歴あり。初診の 2 年前より体幹に紅斑が出現し,徐々に四肢にも散在性に拡大した。病理組織学的所見では真皮浅層から中層に泡沫細胞からなる肉芽腫を形成し,泡沫細胞内に抗酸菌染色陽性の桿菌が多数みられた。臨床症状,病理所見,PCR 検査より,BL 型ハンセン病と診断し,リファンピシン,クロファジミン,ジアフェニルスルホンの多剤併用療法を開始した。開始 1 カ月後よりジアフェニルスルホンによる肝機能障害がみられた。同剤の中止後肝機能は改善し,ジアフェニルスルホンの代替薬としてクラリスロマイシンの投与を開始した。現在も治療を継続中である。一般に B 群はらい菌に対する免疫状態が不安定であり,本症例においても経時的に皮膚病変内のらい菌数が変化していることから,患者の病型は B 群内を移行していたと推測された。さらに血管炎に対してステロイドが長期投与されているため,らい反応がマスクされていた可能性が考えられた。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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