西日本皮膚科
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症例
右鼻翼部に血管拡張性肉芽腫様結節が生じた医原性カポジ肉腫の 1 例
粟澤 剛粟澤 遼子山口 さやか宮城 拓也苅谷 嘉之高橋 健造上里 博
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2015 年 77 巻 5 号 p. 492-496

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抄録

67 歳,女性,沖縄県出身。1 カ月前より右鼻翼部に常色の結節が出現し,自身で穿刺した後から徐々に紅色調となり増大してきた。初診時,右鼻翼部に径 9 mm のドーム状に隆起した紫紅色結節を認め,血管拡張性肉芽腫等を疑い全切除生検を行った。皮膚病理所見では真皮内に,紡錘形細胞の増殖と赤血球を容れた裂隙様脈管からなる充実性の病変を認めた。免疫染色で腫瘍細胞は CD31,D2-40,LANA-1 陽性であった。パラフィン組織から抽出したゲノム DNA より HHV-8 ウイルス DNA が PCR により増幅された。抗 HIV 抗体は陰性であった。患者は特発性肺胞出血のために 1 年前よりステロイド,シクロスポリン内服治療中であり,医原性カポジ肉腫と診断した。経過中,左頰に径 2 mm の鮮紅色局面が出現したが,同様な病理組織学的所見であった。免疫抑制剤を減量した後,皮膚病変の再発や新生はみられていない。本症例は顔面に出現し血管拡張性肉芽腫を疑う臨床像であったことから臨床診断に苦慮したが,LANA-1 染色が診断に非常に有用であった。本邦では非 AIDS 関連カポジ肉腫は稀であるが,沖縄県は他県と異なり例外的に古典型カポジ肉腫の高発生地域であり,本疾患の存在を念頭に置き,診察にあたる必要があると考えた。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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