西日本皮膚科
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症例
2 つの非定型疹を呈し死の転帰をとった成人 Still 病の1例
石黒 麻友子岸本 英樹中島 英貴中島 喜美子佐野 栄紀
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2016 年 78 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

81 歳,女性。1 週間前から続く発熱と体幹・四肢の痒みを伴う皮疹を主訴に受診した。初診時,体幹前面と四肢伸側に紅斑,紅色丘疹が集簇し,関節痛,表在リンパ節腫脹も認めた。病理組織で,角層と表皮上層に個細胞壊死が散見された。初診時に認めた皮疹は 1 週間後に色素沈着を残し消退したが,その後新たに体幹・四肢に痒みを伴う浮腫性紅斑が生じた。この病理組織では表皮に著変なく,真皮上層の浮腫と血管周囲性のリンパ球浸潤を認めた。感染症,悪性腫瘍,膠原病を除外診断し,2 つの異なる非定型疹を呈した成人 Still 病と診断した。全身ステロイド治療に抵抗性を示し,シクロスポリンやガンマグロブリン製剤を併用するも,マクロファージ活性化症候群のため初診から 29 日目に死亡した。成人 Still 病には多彩な非定型疹がみられることも念頭に置き,速やかに診断する必要がある。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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