西日本皮膚科
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症例
皮膚生検が有用であった組織球性壊死性リンパ節炎の1例
中川 理恵子幸田 太執行 あかり桐生 美麿古江 増隆
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2016 年 78 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

31 歳,男性。初診の 1 カ月前より発熱,頚部リンパ節腫脹があり,内科で悪性リンパ腫,組織球性壊死性リンパ節炎 (histiocytic necrotizing lymphadenitis;HNL) などが疑われ精査中だった。抗生剤と解熱鎮痛剤の内服で症状は改善したが,2 週間前より再度発熱,頚部リンパ節腫脹,上肢,体幹,顔面に浸潤性紅斑が出現し,当科に紹介された。皮膚生検では,表皮の個細胞壊死,空胞変性,真皮浅層から深層にかけて,血管・毛包周囲に組織球,リンパ球の浸潤と核塵が多数みられた。免疫染色では,CD68,CD3 陽性,CD4と CD8 では CD8 優位だった。以上より HNL の特異疹と考えられた。経過観察のみで,リンパ節は縮小,皮疹は消退した。HNL は発熱と頚部リンパ節腫脹を特徴とし,若年成人に好発する原因不明の疾患である。皮疹の病理組織は,リンパ節病変と同様の所見であることが多く,皮疹がある場合,リンパ節生検と比較し侵襲が少ない皮膚生検による診断が有用である。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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