西日本皮膚科
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症例
IgG4 関連涙腺炎の 1 例
正木 沙織立川 量子内尾 英一今福 信一
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2016 年 78 巻 3 号 p. 239-242

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抄録

症例は 66 歳の男性。初診の 4 カ月前から両上眼瞼の腫脹が出現した。Sjögren 症候群を疑ったが,抗核抗体,抗 SS-A,抗 SS-B 抗体は陰性だった。IgG4 値は 325 mg/dl(基準値 4~108 mg/dl)と高値であり,IgG4 関連涙腺唾液腺炎(Mikulicz 病)を疑い涙腺生検を施行した。涙腺には形質細胞の浸潤がみられ免疫染色では IgG 陽性形質細胞の中の IgG4 陽性の割合は 30%で,基準の 50%を満たさず IgG4 関連涙腺唾液腺炎は確定できなかった。プレドニゾロン(PSL) 60 mg/day で治療を開始し速やかに両上眼瞼の腫脹の軽快と血清 IgG4 値の正常化がみられた。しかし,PSL 漸減と共に症状は再燃した。メソトレキサート 6 mg/週に変更したが難治で,再度 PSL へ戻し症状は軽快している。高 IgG4 血症,両側涙腺腫大,治療経過より IgG4 関連涙腺炎と考えられた症例であった。両側の上眼瞼の腫脹がみられた時には IgG4 関連疾患も鑑別の一つに挙げる必要がある。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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