西日本皮膚科
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症例
サンスクリーンクリームの使用により臨床的,病理組織学的,免疫組織化学的に軽快を示した Actinic Keratosis の 3 症例
吉見 圭子里見 行義堀 真
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2016 年 78 巻 6 号 p. 633-638

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抄録

Actinic keratosis (AK) は太陽紫外線を遮断することにより退縮することが報告されているが,遮断前後の臨床的,病理組織学的な所見は示されていない。われわれは AK と診断した 3 症例にサンスクリーンクリームを 1 日 3 回,83 日から 109 日間使用させ,使用前後の臨床,病理組織,p53 および Ki67 免疫染色所見を比較検討した。その結果,クリーム使用前に比し使用後は,臨床的には紅斑が軽快し,病理組織学的には異型細胞が不明瞭となった。また,使用前にみられた p53 陽性細胞,Ki67 陽性細胞の陽性率もクリーム使用後は全例において著しく減少した。太陽紫外線は皮膚の発癌において initiator およびpromoter として作用することが明らかにされている。また,AK には p53 遺伝子の変異が高頻度にみられることもよく知られている。自験例においてサンスクリーンクリームの使用により,太陽紫外線を遮断した結果,紫外線の promoter 作用が遮断され,AK cell はその増殖および mutant-p53 蛋白の発現が抑制され,分化に向かうことが考えられた。その結果,臨床的,組織学的,免疫組織化学的に軽快を示したと推論した。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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