西日本皮膚科
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症例
組織学的 GVHD 型反応により紅皮症を呈した ATLL の1例
山本 真有子青木 奈津子中島 喜美子佐野 栄紀
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2016 年 78 巻 6 号 p. 639-643

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抄録

78 歳,女性。3 カ月前から発熱とともに全身に紅斑が出現し,紅皮症を呈した。初診時,頭部,顔面を含む全身に鱗屑を伴う紅斑があり,腋窩リンパ節腫大を伴っていた。抗 HTLV-1 抗体陽性。末梢血に異型リンパ球は認めなかった。病理組織では,少数の CD25 陽性異型リンパ球および多数の CD8 陽性細胞が表皮内に浸潤し,基底層の空胞変性と角化細胞のアポトーシスを認めた。皮疹部での HTLV-1 proviral DNA の単クローン性は PCR 法により検出できたが,サザンブロット法では検出できなかった。ATLL の腫瘍細胞に対する CD8 陽性細胞による抗腫瘍免疫反応が活性化した結果,腫瘍細胞の増殖が抑制されたため,ATLL の特異疹を示すことなく,GVHD 型反応による紅皮症を呈したものと考えた。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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