2017 年 79 巻 3 号 p. 225-229
症例 1:83 歳,男性。左上眼瞼の著明な浮腫性紅斑および下肢の筋力低下で受診した。精査にて甲状腺左葉に巨大な腫瘍を認めた。甲状腺腫瘍を摘出するも皮膚症状の改善なく,上肢の筋力低下も著明となった。その後,胃癌 (stage Ⅳ) がみつかった。症例 2:76 歳,男性。上眼瞼の浮腫性紅斑と嚥下困難で受診した。精査にて,肺癌 (stage ⅢA) がみつかり,摘出手術を行った。悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎では,顔面に紅斑を呈することが多く,皮膚筋炎診断時には半数が進行癌となっているとされる。顔面の紅斑や嚥下障害を主訴に高齢で発症した皮膚筋炎の症例では,特に潜在する悪性腫瘍の存在を疑い,画像検査,腫瘍マーカー測定を繰り返し行う必要がある。近年,急激な化学療法の進歩により,進行癌における予後の改善は著しく,皮膚科医の皮膚筋炎の早期診断における役割の重要性を強調したい。