2017 年 79 巻 4 号 p. 361-366
70 歳,男性。約 20 年前より左鼻翼部から頰部にかけて皮下腫瘤が発生し,徐々に増大した。初診時,腫瘤は左鼻翼部 2.5×2.5 cm,左頰部 4×4 cm,弾性軟,下床との可動性は良好だった。全身麻酔下に摘出し,病理組織学的所見で被膜に包まれた粘液基質からなる腫瘍を認め,基質内には異型性のない紡錘形細胞と拡張した小血管が増生していた。紡錘形細胞は CD34 陽性,S-100 蛋白,α-SMA,desmin 陰性であり superficial angiomyxoma と診断した。術後,再発は認めていないが,局所再発が多い腫瘍とされているため,長期間の慎重な経過観察が必要である。また,色素斑,粘液腫,内分泌異常を有する疾患群として Carney complex がある。Carney complex では皮膚に加えて心臓粘液腫を発症する可能性があるため,superficial angiomyxoma を認めた場合は,鑑別のため心臓超音波検査を行うことが重要である。