西日本皮膚科
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症例
片側性 Darier 病の 1 例
磯谷 智世木村 七絵執行 あかり桐生 美麿古江 増隆
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2018 年 80 巻 2 号 p. 113-116

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抄録

66 歳,男性。23 歳頃に上腹部左側に軽度の痒みを伴う角化性の紅色ないし褐色の丘疹が出現した。60 歳頃より皮疹が拡大し,近医にてステロイド外用を行われるも不変であり,当科を紹介され受診した。体幹左側および左上下肢に角化性丘疹が多発集簇し,一部は Blaschko 線に沿って線状および帯状に配列していた。粘膜や爪に異常はなく,精神症状も認められなかった。家族内に同症なく,夏季の増悪傾向はなかった。病理組織学的には基底層直上に棘融解による裂隙を認め,顆粒層に異常角化細胞が散見された。Darier 病に合う臨床,組織所見を示し,皮疹が片側に限局していることから本症例を片側性 Darier 病と診断した。ビタミン D3 軟膏の外用では皮疹は改善せず,エトレチナートの内服を行い,皮疹の軽度平坦化と退色傾向がみられたが,患者が治療効果に満足せず 4 カ月で中止となった。アダパレンの外用も追加したが,それ以上の改善は認められなかった。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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