西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤治療における油中水型乳剤性基剤製剤の患者満足度の検討
馬岡 愛欠田 成人津田 憲志郎近藤 誠東山 文香水谷 仁半田 智春石井 惠玲村上 拓吉原 成朗山中 恵一
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2018 年 80 巻 2 号 p. 147-155

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抄録
Very strong クラスのステロイド外用剤で治療されているアトピー性皮膚炎(AD)患者を対象に,秋冬および春夏の 2 期間について軟膏基剤製剤から油中水型(以下,W/O 型)乳剤性基剤製剤へ変更後のかゆみスコア(VAS),アトピー性皮膚炎の重症度スコア(SCORAD およびEASI),患者満足度(TSQM-9)およびアドヒアランス(MMAS-8)を評価した。調査対象は秋冬期間(Period 1)34 例,春夏期間(Period 2)22 例であった。試験中止例は 10 例であったが,試験中止例も含め全症例を解析対象とした。VAS,SCORAD および EASI は,両期間で登録時からの有意な低下が認められ,変化量はともに Period 1 と比較して Period 2 が大きかった。患者の治療満足度の評価には TSQM-9 を用いたが,要素である「効果」と「全般満足度」は Period 2 で登録時からの有意な上昇が認められ,変化量はともに Period 1 と比較して Period 2 の方が有意に大きかった。「利便性」には有意差は認められなかった。MMAS-8 は W/O 型製剤投与前後の割合に有意な変化はみられなかった。AD 患者において軟膏基剤製剤から W/O 型乳剤性基剤製剤への変更により,かゆみスコア,患者満足,AD の重症度の改善がみられ,特に春夏期間で顕著であった。
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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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