西日本皮膚科
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症例
結節性紅斑を伴った家族性地中海熱の 1 例
阪野 恵永瀬 浩太郎吉岡 万智子井上 卓也成澤 寛
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2018 年 80 巻 3 号 p. 200-204

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抄録

38 歳,女性。20 年前から 1 週間程度持続する発熱を伴う腹痛を繰り返し認めていた。初診の 2 週間前から下痢が出現し,その後,膝・足・手関節痛と下肢に有痛性の皮疹が出現した。両手関節伸側と両膝から下腿にかけて有痛性紅斑を認め,臨床像,組織学的所見をあわせ結節性紅斑と診断した。11 年前に父・弟妹とともに遺伝子検査で家族性地中海熱(familial Mediterranean fever;FMF)と診断されており,関節症状を伴った結節性紅斑は FMF の発作の一症状と考え,コルヒチン内服を開始したところ症状は改善した。蕁麻疹や紅斑等の皮膚症状の原因として自己炎症性疾患は鑑別に挙げるべき疾患の一つである。 FMF において予後に影響を与えるアミロイドーシスの発症はコルヒチン投与により予防することができるため,早期に診断し治療介入を行うことが有用であると考える。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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