西日本皮膚科
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症例
トキソプラズマ性腋窩リンパ節炎の 1 例
筒井 啓太古賀 文二古賀 佳織竹下 盛重今福 信一
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ジャーナル 認証あり

2018 年 80 巻 6 号 p. 535-538

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抄録

トキソプラズマ症は細胞内寄生原虫である Toxoplasma gondii による人畜共通感染症である。多くは不顕性感染であるが,発症すると局所性のリンパ節腫脹を呈することが多い。今回,我々はトキソプラズマ感染による左腋窩リンパ節炎の 1 例を経験したので報告する。症例は,28 歳男性で,左腋窩の皮下腫瘤を主訴に当科を受診した。左腋窩に約 5 cm の皮下腫瘤を触知し,軽度の圧痛を認めた。画像検査にて左腋窩に多発性のリンパ節腫脹を認めた。腋窩リンパ節生検を行い,病理組織学的にリンパ濾胞の腫大と数個の類上皮細胞の集簇像 (epithelioid cell cluster) を認めた。また血清トキソプラズマ IgM,IgG 抗体価の高値を認め,最終的にトキソプラズマ性腋窩リンパ節炎と診断した。その後,無治療にて腋窩リンパ節は徐々に縮小している。トキソプラズマ症は稀な感染症ではあるが,局所性のリンパ節腫脹を主訴に受診することもあり,皮膚科医も十分に認知しておくべきだと考える。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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