西日本皮膚科
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図説
毛孔との関連が認められた次亜塩素酸ナトリウムによる化学熱傷
江川 清文
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2019 年 81 巻 1 号 p. 1-2

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抄録

症例:28 歳,女性
主訴:プール消毒剤による皮膚障害
病歴:初診日の前日,プール管理業務中に誤って消毒用 12%次亜塩素酸ナトリウム原液(pH12)を衣類の上から左大腿部に浴びた。そのまま仕事を続けたが,ヒリヒリするため約 10 分後に脱衣して水で洗い流した。翌日(初診日)の朝もヒリヒリ感が持続しており,皮膚の赤褐色調変化も認めたため心配になり受診した。
初診時現症:左大腿部皮膚に,ヒリヒリ感を伴う,点状∼線状の赤褐色調変化を認めた(図1)。
ダーモスコピー所見:点状皮疹は毛孔一致性で,褐色変化が白く抜けた毛孔を取り囲んで認められた(図2)。 線状皮疹はこれが皮膚の雛壁に沿って,連続性に癒合したものであった(図3)。
診断および治療:次亜塩素酸ナトリウムによる化学熱傷と診断,クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏を外用し,プレドニゾロン(5 mg) 2 錠/日とフェキソフェナジン(60 mg)2 錠/日を分 2で 4 日間内服させたところ, 10 日後には軽度の瘢痕を残して治癒した。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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