西日本皮膚科
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症例
皮膚生検にて平滑筋肉腫が疑われた Atypical Fibroxanthoma の 1 例
佐藤 清象中原 真希子内 博史宮崎 玲子辻 学中原 剛士三苫 千景古江 増隆
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2019 年 81 巻 6 号 p. 487-490

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抄録

92 歳,男性。2 カ月前に頭頂部の出血を伴う結節を自覚した。皮膚生検にて異型性が強く,多形性のある線維芽細胞様の紡錘形細胞の増殖を認め,免疫組織化学的には平滑筋マーカーである α-SMA,h-caldesmon,calponin が部分的に淡く陽性で,desmin が陰性であった。平滑筋肉腫が疑われ,1 カ月後に拡大切除を行った。病理組織学的に,真皮全層性に境界明瞭な結節を認め,紡錘形細胞,多形な類上皮細胞が不規則な錯綜配列を呈して増殖し,多核巨細胞,核分裂像を多数認めた。免疫組織化学染色で α-SMA,h-caldesmon が部分的に陽性で,desmin,calponin,CK5/6,p40,p63,AE1/AE3,S-100p,CD31,CD34 が陰性であることから,atypical fibroxanthoma(AFX)と診断した。AFX は病理組織学的に,未分化多形肉腫など紡錘形細胞や組織球様細胞からなる腫瘍との鑑別が必要となる。自験例は平滑筋マーカーである α-SMA,h-caldesmon が陽性であり,平滑筋肉腫も鑑別に挙げられたが,いずれも部分的な陽性であり,腫瘍の境界が明瞭であることから AFX と診断した。部分生検では平滑筋肉腫との鑑別が困難であり,腫瘍全体の評価が診断確定に有用であった。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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