西日本皮膚科
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症例
膠原病患者に生じた黄色肉芽腫様の組織像を呈した滑液包炎の 1 例
田中 佳世井上 卓也米倉 直美村中 友加里成澤 寛力武 美保子
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2020 年 82 巻 2 号 p. 90-93

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抄録

62 歳,女性。関節リウマチ,混合性結合組織病で治療されていた。初診の約 1 年前より右肩甲骨部に皮下腫瘤が出現し,徐々に増大したため当科を受診した。MRI では右肩甲骨部内側に被膜を有する囊腫様病変を認め,部分切除を行った際に内部から漿液性成分と白色の粥状物の排出を認めた。病理組織では,腫瘤は囊腫様構造を呈し,内部には好酸性の無構造物質と泡沫細胞を認め,necrobiotic xanthogran uloma を疑ったが,臨床所見,検査所見および全摘した病変の病理組織学的所見より慢性滑液包炎の診断に至った。滑液包炎は主に整形外科領域の疾患であり,皮膚科からの報告は少ないが,皮下腫瘤を認めた場合,特に炎症性関節炎や外傷などの既往がある場合には滑液包炎を鑑別疾患の一つとして考慮することが重要と考えた。

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© 2020 日本皮膚科学会西部支部
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