西日本皮膚科
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症例
刺青サルコイドーシスの 1 例
川﨑 彩加佐藤 絵美吉村 郁弘今福 信一
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2020 年 82 巻 6 号 p. 422-425

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抄録

刺青が皮膚の局所感染症,ケロイド,異物肉芽腫などさまざまな皮膚症状の誘因となることは広く知られている。刺青上に局所的に生じる肉芽腫反応は刺青肉芽腫(tattoo granuloma)と呼ばれるのに対し,肉芽腫病変に加えサルコイドーシスに特徴的な全身症状や検査値異常を伴うものは刺青サルコイドーシス(tattoo sarcoidosis)と呼ばれる。症例は 35 歳の男性,当科初診 1 年前に入れた刺青部分が初診 4 カ月前より一部隆起していることに気付いた。その後視力低下も出現し,前医でぶどう膜炎を指摘された。サルコイドーシスが疑われ,当科での皮膚生検より刺青サルコイドーシスと診断した。sIL-2R や ACE 上昇も認め,胸部 CT では肺野間質に沿った粒状影も認めた。刺青肉芽腫に比較して刺青サルコイドーシスの報告は本邦では少なく,自験例を含め 17 例のみであった。刺青肉芽腫では赤色の刺青部分に皮疹を生じることが多いのに対し,刺青サルコイドーシスでは黒色の刺青の色素の濃い部分に皮疹を生じることが多いと報告されている。それぞれの色素に使用されている成分により肉芽腫を形成するメカニズムが異なり,全身性のサルコイドーシスまで引き起こすかを左右するのではないかと考えた。

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