西日本皮膚科
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症例
青年男性の関節リウマチ治療中に発症したメトトレキサート過剰内服による汎血球減少を伴う皮膚粘膜障害の 1 例
塚本 華倫中原 真希子中原 剛士古江 増隆
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2021 年 83 巻 4 号 p. 317-320

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抄録

30 歳台,男性。初診 10 年前より両膝の関節リウマチに対してメトトレキサート(Methotrexate,以下 MTX)を週に 1 回内服していた。初診 9 カ月前頃より MTX を連日内服し,休薬することを繰り返していた。初診時,口腔内のびらん,嚥下痛を認め摂食不良を伴った。また,血液検査では汎血球減少を認めた。薬剤歴より MTX 過剰内服による口内炎および汎血球減少と考えた。下口唇より生検を行ったところ,組織学的には表皮および真皮内の炎症細胞浸潤と大型の核をもつケラチノサイトを認めた。MTX の副作用として皮膚粘膜障害や汎血球減少は知られているものの,その報告の大多数は関節リウマチの好発する女性,特に副作用の出やすい高齢者である。青年男性における副作用の発現は高齢者と比較して稀ではあるが,過剰内服により起こり得るため,患者に対しては十分な服薬指導を行う必要がある。

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© 2021 日本皮膚科学会西部支部
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