西日本皮膚科
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症例
皮疹を契機に診断に至った腹膜炎で発症した劇症型 A 群溶血性レンサ球菌感染症の 1 救命例
齊藤 華奈実井上 貴史山本 明彦卜部 省悟大久保 浩一波多野 豊
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2021 年 83 巻 6 号 p. 535-539

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抄録

59 歳,女性。生来健康であった。発熱と強い腹痛の精査加療目的に前医より緊急搬送された。腹膜炎を伴う腹腔内巨大腫瘍感染による敗血症性ショック疑いの診断の下に緊急開腹術が施行された。巨大腫瘍は,子宮漿膜下筋腫であり,亜全摘術を施行された。術後も循環動態は安定せず,感染源不明な敗血症であった。初診時の皮疹と前医の血液培養から A 群溶血性レンサ球菌が検出されたことより,劇症型 A 群溶血性レンサ球菌感染症を強く疑い,加療を開始し,救命し得た。後に病理学的精査により,摘出された子宮筋腫の内部は,大量の菌塊を含み変性壊死していることが判明した。患者血液から分離された菌株の細菌学的性状は TB3264 型,M 型は判別不能,emm 遺伝子型が emm89 型で,発熱毒素遺伝子 speBspeCspeF を保有しており,劇症型 A 群溶血性レンサ球菌感染症と確定診断した。自験例は,腹膜炎として発症して,子宮筋腫の筋層内に壊死性軟部組織炎を伴っていた劇症型 A 群溶血性レンサ球菌感染症と考えられ,皮疹が診断の契機となった。

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