西日本皮膚科
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図説
関節リウマチ患者に生じた皮膚腺病
川口 晃三栗原 雄一宮原 正晴明石 道昭
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2022 年 84 巻 5 号 p. 395-396

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抄録

患者:75 歳,男性

主訴:頚部,腋窩の潰瘍,皮下結節

既往歴:関節リウマチ

現病歴:関節リウマチにて5 年前よりプレドニゾロン,メトトレキサートを内服していた。当科初診 6カ月前より頚部と両腋窩に皮下結節が出現し徐々に潰瘍化した。

現症:頚部と両腋窩に排膿を伴う無痛性の皮下結節と潰瘍を多数認めた(図 1 )。

検査:血液検査で QFT(+),喀痰塗抹(Ziehl-Neelsen 染色):陰性,液体培養(喀痰):陰性,液体培養(右腋窩):Mycobacterium tuberculosis,PCR(培養検体):結核菌群(+)

単純 CT:頚部,腋窩,縦隔にリンパ節腫大を認めた。肺野を含むその他の部位には異常所見は観察されなかった。

病理組織学的所見:真皮内に乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め(図 2 a),内部には好中球浸潤を伴っていた(図 2 b)。散在性に多核巨細胞浸潤が観察され(図 2 b),Ziehl-Neelsen 染色陽性の桿菌を認めた(図3 )。

診断:皮膚腺病

経過:関節リウマチに処方されていたプレドニゾロン 5 mg/day およびメトトレキサート 6 mg/week は継続のままイソニアジド,リファンピシン,エタンブトールの 3 剤で 2 カ月間治療を行い,その後イソニアジド,リファンピシンの 2 剤で 7 カ月間治療を行った。抗結核薬投与後有害事象なく,開始後 2 カ月で結節は平坦化し,潰瘍は上皮化した(図 4 )。

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© 2022 日本皮膚科学会西部支部
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