2023 年 85 巻 6 号 p. 435-436
患者:2 歳,女児
主訴:尾骨部の隆起性病変
既往歴:特記なし
家族歴:初診 6 カ 月前に兄が伝染性軟属腫に罹患した。
現病歴:初診 3 カ 月前に尾骨部に隆起性病変が出現し,徐々に増大したため,当科に紹介となった。
初診時現症:尾骨部に 20×5 mm の鶏冠状の鮮紅色,表面に凹凸のある腫瘤を認めた(図 1 ,2)。
病理組織学的所見:表皮母斑,尖圭コンジローマ,伝染性軟属腫等を鑑別に考え,皮膚生検を施行した。乳頭状に隆起した病変で,表皮は一部でびらんを形成していた。内方性に増殖した角化細胞の胞体内に好酸性の封入体(molluscum body)がみられ,真皮浅層にリンパ球や好中球を交えた密な炎症細胞浸潤を認めた(図 3 ,4)。
診断:伝染性軟属腫
治療および経過:皮膚生検より 1 カ 月後の再診時,腫瘤はすでに縮小傾向を示しており(図 5),冷凍療法を一回施行したのみで消退した。