2024 年 86 巻 3 号 p. 277-281
透析患者は腎臓の機能不全や透析治療に関連してさまざまな皮膚疾患を合併することが知られている。 これら皮膚合併症は患者の QOL 低下や生命予後に影響することもある。透析患者に生じる皮膚疾患のアウトカムを改善させるためには,解決すべき重要臨床課題を明確にすることが重要である。そこで,医中誌 Web で検索語を「透析」「皮膚」とし国内の症例報告を網羅的に検索し,その傾向を考察した。対象となった症例は 255 例で,代謝異常症,真皮・皮下脂肪組織の疾患,薬疹の症例が多かった。頻度や治療への抵抗性,QOL への影響,予後などを考慮すると,とくにカルシフィラキシスと穿孔性皮膚症の治療が重要臨床課題であると考えた。課題の解決は容易ではないが,多職種連携や多施設共同研究などの体制構築が求められる。