63 歳,女性。受診の半年前頃より右鎖骨部に結節が出現し徐々に増大傾向であった。右鎖骨部に約 1.5 cm の弾性硬の紅色結節を認め,皮膚生検にて顆粒細胞腫と診断した。局所麻酔下で腫瘍を切除した。病理組織学的所見では,真皮から皮下脂肪にかけて細胞質に好酸性の顆粒を多数含む類円形の細胞の増殖を認めた。免疫組織化学的所見では,腫瘍細胞は S-100 蛋白,neuron specific enolase(NSE),glucose transporter-1(Glut-1),vimentin,CD68 が陽性,glial fibrillary acidic protein(GFAP)は陰性であった。好酸性の顆粒はジアスターゼ抵抗性の PAS 染色陽性であった。電子顕微鏡所見では腫瘍細胞の細胞質内にさまざまな形態のライソゾーム様顆粒が充満し,一部層状の myelin-like body を認めた。顆粒細胞腫の起源や病態については未だ不明な点が多いが,現在では Schwann 細胞に由来する神経源説が有力である。肉眼所見も多彩であり非特異的であることから初診時に鑑別疾患として顆粒細胞腫が挙がることは非常に少なく,顆粒細胞腫について認知しておくことが必要である。