2006 年 55 巻 4 号 p. 408-409
大腿骨内顆冠状骨折は比較的まれな骨折で,同部位の骨折後の変形治癒を経験したので報告する.症例は22歳男性.交通事故にて受傷.頭部外傷などの多発外傷があり近医脳外科に入院.受傷8週後の初診時,膝の運動時痛が著明で,伸展-15°屈曲80°と可動域は著明に制限されていた.X線所見では大腿骨内顆は後方に転位した状態で変形治癒し,膝蓋骨骨折は骨癒合不良であった.この症例に対してPCLを切離し,内顆を骨切りをして整復固定,膝蓋骨の骨接合を施行した.術後2年の現在,膝の疼痛はほとんどなく,可動域も改善しており,正確な骨切り,強固な固定,早期可動域訓練が術後成績の改善に大事であると思われる.