整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
化膿性股関節炎を合併した乾癬性関節炎の1例
下雅意 亮臣西畑 貴子岡野 徹萩野 浩豊島 良太
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 56 巻 1 号 p. 22-25

詳細
抄録

【目的】乾癬性関節炎に化膿性股関節炎を合併した症例を経験したので報告する.【症例】55歳女性.主訴は左股関節痛.33歳時より尋常性乾癬で加療を受けていたが,36歳時より乾癬性関節炎を併発し当科通院加療中であった.55歳時に特に誘因なく左股関節痛出現し,歩行困難となった.左股関節は可動域制限著明であり,腸腰筋肢位を認めた.炎症反応は亢進しており,入院後の画像検査で左腸骨窩に膿瘍形成を認め,股関節造影でその膿瘍との連続性が確認された.化膿性股関節炎に合併した腸骨窩膿瘍と診断し,観血的に掻爬ドレナージを施行した.膿瘍から MRSA が同定され,ドレナージ後も感染の再燃を繰り返し,頻回の観血的処置を要した.最終的に発症後2.5カ月時に抗生剤含有セメントビーズ留置と resection arthroplasty を行い感染の沈静化が得られた.化膿性股関節炎の診断が遅れたことが治療に難渋した原因と考えられた.

著者関連情報
© 2007 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top