整形外科と災害外科
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脛骨に発生した骨内神経鞘腫の1例
平井 奉博薬師寺 俊剛佐藤 広生岡 潔上川 将史水田 博志
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2007 年 56 巻 4 号 p. 643-646

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抄録

神経鞘腫の骨内発生は比較的稀である.今回われわれは,脛骨内より発生した骨内神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は,79歳女性であった.約1年前より右膝窩部の腫脹・疼痛を自覚し,平成17年1月,近医にて右脛骨の異常陰影を指摘され当科を紹介された.単純X線像では右脛骨の骨幹端から近位骨端部にかけ辺縁の硬化性変化を伴う骨透亮像を認め,後方皮質は一部で膨隆・菲薄化していた.MRIにて脛骨骨髄内から後方の骨外へ広がる病変は,T1強調像で低信号,T2強調像で高・低信号の混在,造影にて比較的均一に増強効果を認めた.切開生検では病理組織学的に神経原生腫瘍が考えられたが確定診断には至らず,臨床的に骨内神経鞘腫と診断し腫瘍切除ならびにセメント充填術を施行した.術後切除標本による病理組織学的検査の結果は骨内神経鞘腫の診断であった.術後1年半の現在,再発ならびにADL制限は認めていない.

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© 2007 西日本整形・災害外科学会
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