整形外科と災害外科
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透析患者の手と肩関節に生じたtumoral calcinosis様石灰沈着の1例
樫原 稔
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2009 年 58 巻 2 号 p. 169-172

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抄録
【はじめに】長期透析患者の手関節と肩関節に生じたtumoral calcinosis様石灰沈着の1例を経験したので報告する.【症例】46歳男性で,慢性腎不全による透析を16年間受けていて,某医で両手背の軟部腫瘍摘出術をうけた.左側は3年後に再発し,さらに2年6カ月後に左肩にも腫瘤が出現した.ともに単純X線像では多房性の濃淡不規則で広範な石灰化像を認めた.疼痛や可動域があったため,摘出術を行った.腫瘤は被膜に被われ,多数の隔壁をなし,黄白色のクリーム状の石灰化物質がつまっていた.病理組織像は多数の石灰沈着巣が島状にみられ,増生した結合織内に炎症性細胞や異物巨細胞を認めた.【考察】tumoral calcinosis様石灰沈着の治療は薬物療法などの保存療法で治療可能の場合もあるが,本症例のように疼痛や関節可動域制限などがある場合は,外科的切除の適応である.
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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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