整形外科と災害外科
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大腿四頭筋に発生したCryptococcus neoformans感染症の1例
舛田 哲朗中村 英一鬼木 泰成西岡 宏晃田中 あづさ廣瀬 隼水田 博志
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2009 年 58 巻 3 号 p. 482-487

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抄録

Cryptococcus neoformansは肺や中枢神経の真菌感染症の起炎菌として知られているが,骨・軟部組織への感染は稀である.今回我々は,大腿四頭筋に発生した本感染症の1例を経験したので報告する.症例は70歳女性.関節リウマチと間質性肺炎に対しプレドニゾロン17.5mg/日内服していた.また糖尿病とC型肝硬変も合併していた.3日前より誘因なく,右大腿遠位外側に疼痛と腫脹・発赤が出現したため当科外来を受診した.37.3℃の熱発と血液検査上白血球数とCRPの上昇を認めた.同部の皮下膿瘍を疑い穿刺後,外来にてCEZの点滴を行ったが,症状増強した為緊急入院となった.MRI上外側広筋周囲に高信号領域がみられた.培養検査にてCryptococcus neoformansが検出された為,同菌による筋膜炎/筋炎と診断した.約2週間のフルコナゾール投与にて症状は消失し,CRPは正常化した.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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