整形外科と災害外科
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人工股関節置換術直前に口腔内感染症が判明し手術を延期した2例の経験
野田 大輔白水 圭鎌田 聡内藤 正俊青柳 直子藤木 さよ
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2009 年 58 巻 3 号 p. 488-490

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抄録

今回,人工股関節置換術直前に口腔内感染症が判明したため手術を延期し,歯科治療を優先させ改めて人工股関節置換術を行った症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.口腔内感染症は一時的な菌血症を引き起こし,血行性感染により人工関節置換術後感染の原因となりうる.又,歯科治療により菌血症を生ずることがあり,特に抜歯では菌血症を生じやすいとされている.人工関節置換術後感染は一旦起こると重篤になる場合が多く,注意が必要であり術前口腔内感染症の有無を把握することで,術後感染の危険性を減少することが可能となると思われる.しかし,術前の口腔内評価は施設毎でまちまちであり,一定の基準はないと思われる.人工関節置換術前は良好な口腔内衛生を保つことと,必要があれば術前に歯科医との連携をとることが望ましい.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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