整形外科と災害外科
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滑車上肘筋が原因と考えられた肘部管症候群の1例
志摩 隆之山下 優嗣豊島 良太
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2009 年 58 巻 4 号 p. 662-664

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抄録

滑車上肘筋を伴う肘部管症候群の1例を経験したので報告する.症例:17歳女性.右環小指のしびれを自覚し,前医で内服加療受けたが改善せず,鷲手変形も生じたため,当科紹介となった.小指内転が困難で,症状はキーボード操作やWright test肢位で増悪した.尺骨神経は滑車上肘筋深層で線維結合織性癒着のため係留されていた.滑車上肘筋とOsborne靭帯を切離し,尺骨神経皮下前方移動術を施行した.術翌日より小指内転が可能となった.本症例では静的要因のみでなく,係留という動的要因も関与していると考えられた.尺骨神経走行距離(上腕骨内側上顆と尺骨茎状突起間の距離)は,回内外により有意に変化した.本例の原因として,絞扼のみでなく係留による神経牽引の影響が示唆された.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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