整形外科と災害外科
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腫瘍用人工関節(KLS system)の再置換を行った1症例
富田 雅人熊谷 謙治金丸 由美子進藤 裕幸
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2010 年 59 巻 2 号 p. 246-249

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抄録

【はじめに】KLS systemの大腿骨ステムが折損し再置換を行った症例を経験したので報告する.【症例】症例は39歳の女性である.右大腿骨遠位部の傍骨性骨肉腫を広範切除し,KLS systemにて再建し患肢を温存した.術後経過良好でほぼ杖なし歩行可能であった.術後3年1カ月時より右大腿部に歩行時痛が出現し,徐々に増強した.X線上遠位スクリュー孔部でステムが折損していた.3カ月後に人工関節の再置換を行った.専用の円筒リーマーで抜去を試みたが,リーマーが破損したため,約10mm幅でスリット状に大腿骨を開窓し,円筒リーマーでステム周囲を掘削し,抜去出来た.その後セメントステムを挿入した.術後経過良好で,一本杖歩行可能となり退院した.【考察】KLS systemのセメントレスステムは,回旋をサイドプレートで制御するデザインであり,強度の低下が懸念される.今後若年者にKLS systemを使用する場合,大腿骨側はセメントステム,脛骨側はセメントレスを使用する方針も考えている.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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