整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
59 巻 , 2 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
  • 楢原 知啓, 吉田 健治
    2010 年 59 巻 2 号 p. 209-215
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    [目的]足関節捻挫に対する軽度背屈位短下肢ギプス包帯法を行なったので報告する.[対象および結果]過去に捻挫の既往がない10症例(男5例,女5例)を対象とした.年齢は平均33.7歳(14歳~59歳)であった.受傷から初診までの期間は平均0.9日(当日~2日)で,ギプス固定期間は平均37.6日(26日~44日)であった.初診から治療終了までの期間は平均58.3日(43日~78日)で,初診時のストレス撮影で距骨傾斜角は平均17度(10度~25度)であり,治療終了時は平均5.1度(0度~10度)であった.[考察]軽度背屈位短下肢ギプス包帯法は比較的簡便で,施行後,翌日より支持なしで全荷重歩行が可能であり,ギプスの合併症に注意しながら施行すれば有用な方法である.[まとめ]臨牀経過は良好で,調査時の距骨傾斜角は改善していた.
  • 真鍋 尚至, 王寺 享弘, 香月 正昭
    2010 年 59 巻 2 号 p. 216-219
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    近年,人工関節置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)対策として抗凝固療法が一般的になりつつあるが,一方でそれに伴う出血性副作用などの有害事象の発生が懸念される.当院で人工膝関節全置換術(TKA)後にフォンダパリヌクスを使用した症例のうち,出血性有害事象を来した症例を経験したので報告する.2007年6月から2008年12月までにTKAを施行した289例333膝に対し,術翌日よりフォンダパリヌクスを原則2週間投与した.術翌日の超音波検査にて下肢深部静脈血栓を130膝(39.0%)に認めた.全て無症候性で,肺血栓塞栓症の発生はなかった.出血性有害事象として,消化管出血が3例,腓腹部の血腫形成が1例あった.フォンダパリヌクスの投与中は出血性副作用の出現に十分配慮しながら使用することが重要である.
  • 入江 弘基, 加藤 悌二, 石井 一誠, 岩本 克也, 山下 武士, 瀬形 建喜, 米村 憲輔, 水田 博志
    2010 年 59 巻 2 号 p. 220-223
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    25歳男性.灯油引火による上半身熱傷(両上肢III度熱傷,体幹・顔面II度)に対して,減張切開・創傷処置・植皮術を複数回施行された.受傷後5カ月で肘関節拘縮に対して当科紹介となる.可動域は右肘40°―50°,左肘45°―50°であり,単純XpおよびCTにおいて,上腕骨内側上顆後方から肘頭にかけての異所性骨化を認めた.併発した腎炎の治療を行い,症状が安定した受傷後16カ月で右肘関節,受傷後19カ月で左肘関節の関節授動術を行った.内側アプローチにて尺骨神経を剥離後,内側上顆を切除し,後斜走靱帯を切離した.外側アプローチも追加し,後方の骨化部分を切除した.術後肘装具を使用し可動域訓練を行い,両肘関節とも0―140°の可動域を獲得している.日常生活動作は自立し,患者満足度は高かった.
  • 岡田 文, 井原 和彦, 島田 信治, 別府 達也, 竹下 都多夫, 佐藤 陽昨, 中川 憲之, 西川 和孝
    2010 年 59 巻 2 号 p. 224-227
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    頚髄損傷C6完全麻痺患者の手関節機能障害に対し,Sauve-Kapandji法に準じて手関節形成を行った症例を経験したので報告する.症例は40歳男性.約4年前の交通外傷にてC6完全麻痺となった.通常型の生ゴム付きロンググローブを装着して手動車椅子でリハビリ訓練中,左前腕掌尺側に血腫を形成した.血腫形成の原因を精査したところ,尺骨は過回外により完全掌側脱臼しており,手動車椅子を駆動する際に掌側脱臼した尺骨頭がハンドリムに接触することにより血腫を形成したと推測された.電動車椅子ではなく,手動車椅子で生活したいとの本人の強い希望があり,Sauve-Kapandji法を用いて遠位橈尺関節の整復と近位骨片の制動を行った.術後約3ケ月間装具による固定を行い通常型グローブに変更したが血腫の再燃は認めず,手動車椅子訓練を再開できた.肘関節への影響など今後の経過観察が必要である.
  • 住浦 誠治, 山本 学, 池田 慶裕, 関 万成, 今釜 崇
    2010 年 59 巻 2 号 p. 228-230
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    環指デグロービング切断2例に対して再接着術を行なった.完全指剥脱創(Urbaniak分類:Class III)に対する皮膚軟部組織欠損の再建は剥脱組織の再接着が可能であれば,理想的である.しかし,しばしば剥脱組織の挫滅が著しく断念せざるを得ないことも少なくない.一方再接着が行なわれた場合でも,いわゆるring avulsion injuryの骨の切断レベルはDIP関節か,中節骨頚部で,伸筋腱は通常挫滅断裂し,修復困難である.DIP関節の可動性は望めない.また神経・血管は引き延ばされて断裂している場合が多く,血管内膜損傷による血栓形成や,神経回復不良が危惧される.いずれにしても無理せず縫合することが必要で,血管損傷に対しては静脈移植を必要とし,場合によっては一期的な神経移植が必要なのかもしれない.皮膚欠損も無理して縫合せず,生じた皮膚欠損を静脈と同時に再建できる静脈皮弁はデグロービング損傷の再建には極めて有効であった.
  • 松崎 昭夫
    2010 年 59 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    305例の手根管開放術記録を検討した.横手根靱帯切離時に見られた肥厚部下神経圧痕の形態,指屈筋総腱滑液鞘の所見より以下の結論を得た.横手根靱帯切離は手根管掌側面の徐圧のみでなく,管腔断面の拡大にも寄与している.3例を除いて見られた靱帯肥厚部下の神経圧痕は掌・背側から圧迫された形で薄くなっていた.この圧痕は手関節屈曲位での握り・つまみ動作時に神経が靱帯肥厚部と示・中指浅指屈筋腱間で圧迫されることの繰り返しによるものと思われる.滑膜の変化はそれ自体管腔内容量の増加で手根管症候群発症原因になるが,その他神経を包んで靱帯掌側に癒着することで神経の可動性を制限することでも発症に関与していると推測した.
  • 吉田 紘二, 村松 慶一, 田口 敏彦
    2010 年 59 巻 2 号 p. 235-237
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    〔はじめに〕ボーリングにおける指神経障害を呈し,軟部腫瘍と鑑別を要した比較的希な疾患を経験しましたので報告します.〔対象〕31歳男性,19歳女性.〔手術所見〕2症例共に,瘢痕組織が神経を覆うように増生し,神経外膜の剥離と,可及的に瘢痕組織の切除を行いました.剥離後の神経にはneuromaの形成が認められました.病理検査では膠原線維および線維芽細胞の増生が見られ,散在性に細血管の増生を伴っていて,明らかな腫瘍は認められませんでした.〔考察〕Bowler's thumbはボーリングによるover useが原因となり瘢痕組織が腫瘤様に触知される偽性神経腫と,FPLの走行に一致して滑膜の増殖を来す2つの病態が報告されています.基本的には保存的治療が行われますが,保存的治療に抵抗する症例や,確定診断のために手術を行います.診断に関しては,neurofibrosisという病態を認識し,詳細な問診をとることで,鑑別疾患に挙げる事が重要と考えました.
  • 井原 秀俊, 岡 さゆり, 高山 正伸, 福本 貴彦, 池永 千寿子, 田代 美由紀, 池田 修
    2010 年 59 巻 2 号 p. 238-241
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    姿勢制御能に与える靴の影響を,不安定板を使用して検討した.大学女子ハンドボール部員12名を対象にした.裸足,ハンドボール靴,通学靴の3条件下で,片脚起立および不不安定板外乱時の動的バランスを評価した.両膝と不安定板に加速度計を装着した.まず,次の2つの方法で姿勢制御能を評価した.片脚姿勢制御能の評価として,開眼にて小型不安定板に支持足で立ち,板の揺れに対して身体のバランスを10秒間保持させた.3回成功するまで実施した.下肢の動揺を加速度計で計測し,加速度最大振幅を身体動揺の指標とした.失敗数も記録した.次に,開眼にて大型不安定板に両足で立ち,後方からの10回の不意傾斜に対して,身体のバランスを保持するように指示した.加速度最大振幅をステップ力の強さの指標とした.加速度最大振幅においては,裸足と靴の間には有意な差はなかった.片脚姿勢制動の失敗数において,裸足は通学靴よりも優れていた.
  • 永野 聡, 横内 雅博, 河村 一郎, 善明 美千久, 松山 金寛, 救仁郷 修, 有島 善也, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 242-245
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】成人発症骨肉腫において,化学療法の効果が治療成績に及ぼす影響を検討した.【対象】2001年から2008年までに当科にて治療した発症時30歳以上の骨肉腫は8例で,年齢47歳(30~67歳)であった.発生部位は大腿骨6例,脛骨1例,上腕骨1例であり,全例で初診時転移巣を認めなかった.2例を除き術前化学療法の後に手術を施行した.【結果】手術は3例で切断術,4例で広範切除術と人工関節再建術を行った.切除標本による術前化学療法の評価はGrade 0が3例,Grade 1が2例,Grade 2が1例であった.3例は術後9ケ月(3~13ケ月)で肺転移が出現し,DODとなった.平均観察期間3年5ケ月で1例がAWD,4例がCDFであった.【考察】術前化学療法の組織学的治療効果は良好な予後と相関する傾向にあったが,全身状態,副作用のため,化学療法が完遂できなかった症例が多く,治療効果に影響した.
  • 富田 雅人, 熊谷 謙治, 金丸 由美子, 進藤 裕幸
    2010 年 59 巻 2 号 p. 246-249
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【はじめに】KLS systemの大腿骨ステムが折損し再置換を行った症例を経験したので報告する.【症例】症例は39歳の女性である.右大腿骨遠位部の傍骨性骨肉腫を広範切除し,KLS systemにて再建し患肢を温存した.術後経過良好でほぼ杖なし歩行可能であった.術後3年1カ月時より右大腿部に歩行時痛が出現し,徐々に増強した.X線上遠位スクリュー孔部でステムが折損していた.3カ月後に人工関節の再置換を行った.専用の円筒リーマーで抜去を試みたが,リーマーが破損したため,約10mm幅でスリット状に大腿骨を開窓し,円筒リーマーでステム周囲を掘削し,抜去出来た.その後セメントステムを挿入した.術後経過良好で,一本杖歩行可能となり退院した.【考察】KLS systemのセメントレスステムは,回旋をサイドプレートで制御するデザインであり,強度の低下が懸念される.今後若年者にKLS systemを使用する場合,大腿骨側はセメントステム,脛骨側はセメントレスを使用する方針も考えている.
  • 松山 金寛, 横内 雅博, 永野 聡, 河村 一郎, 中島 隆之, 有島 善也, 善明 美千久, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 250-253
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    軟部肉腫は通常それ自体は疼痛を伴わず無痛性腫瘤を主訴として診断されることが多い.ゆえに深部発生で腫瘤を触知しない症例に対しては疼痛の存在のみで肉腫を疑うことは困難である.今回我々は,鼠径部痛を主訴に医療機関を受診し,保存的加療を行われた後に腫瘤が明らかとなった肉腫の2症例を経験したので報告した.鼠径部痛をきたす疾患は多く,一般整形外科医にとってはその発生頻度の低さからも,鼠径部痛のみで肉腫を疑うことは困難と思われる.しかし迅速かつ的確に軟部肉腫を診断し,早期に治療を開始する事は患者の予後を左右する.大腿から鼠径部は成人軟部肉腫の好発部位であることを念頭におき,保存的加療に抵抗性の場合にはMRIなどを早期に行うことが望ましいと考えられた.
  • 上原 史成, 前原 博樹, 當銘 保則, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 2 号 p. 254-258
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    円形細胞骨肉腫は骨肉腫の亜型で,発生頻度は少ない.今回,橈骨骨幹部に発生した円形細胞骨肉腫の1例を報告する.症例は16歳女性,主訴は左前腕の腫瘤.2カ月前より左前腕のしこりを自覚し,疼痛が出現したため近医を受診し左橈骨骨幹部の骨腫瘍が疑われ,当科へ紹介された.単純X線像で左橈骨骨幹部に骨透亮像および皮質骨の不正な肥厚を認めた.MRIでは橈骨骨幹部の皮質骨にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,強い造影効果を示す9×11mm大の腫瘍性病変を認めた.切開生検術を施行し,円形細胞骨肉腫と診断された.術前に化学療法を行い,広範切除術と腓骨移植(non-vascularized),腱移行を用いた再建術を施行した.術後1年2カ月で再発はなく,良好な患肢機能が得られている.
  • 鶴 亜里紗, 河村 一郎, 横内 雅博, 永野 聡, 松山 金寛, 中島 隆之, 有島 善也, 善明 美千久, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 259-262
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    小児孤立性骨嚢腫(Simple Bone Cyst:以下SBC)のactive phaseに,骨穿孔術を施行した症例の治療成績を検討した.2001年1月以降に当院で加療したSBC患者35例のうち,小児SBCのactive phaseで骨穿孔術を施行した7例(男5例,女2例,平均年齢9歳4ケ月)を対象とした.観察期間は平均67.6ケ月,発生部位は,上腕骨近位4例,大腿骨近位3例であった.7例中3例に初回手術後の再発を認め再発率は43%であった.再発を認めた3例には全例に再度骨穿孔術を施行し,最終観察時には7例中6例(85.7%)が良好な結果であった.骨穿孔術は低侵襲であり,特にactive phaseに対しては骨端線損傷の危険性を回避できる有効な治療法であると考えられる.しかし自験例においても再発率が43%と高率であり,低侵襲でかつより再発率が低い方法の開発が望まれる.
  • 出田 聡志, 前田 和成, 鳥越 雅史, 田口 憲二, 山口 貴之, 釘崎 創, 土居 満, 岡崎 威, 郡家 則之, 本川 哲
    2010 年 59 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    骨Paget病は,本邦では比較的まれな疾患といわれている.今回我々は3例の骨Paget病患者を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.3例の発症部位は,それぞれ右股関節,腰部,膝関節と異なるが,いずれも血清ALP高値であり,単純X線,骨シンチ,生検などの検査により骨Paget病と診断した.診断後,ビスフォスフォネート製剤の投与を開始し,現在は症状の改善を認め,検査値も正常化してきている.骨Paget病の予後は比較的良好といわれている.しかし,まれではあるが,経過中に病的骨折や悪性化,二次性の変形性関節症をきたす可能性もあるため,早期診断・早期治療と,長期間の経過観察が必要である.
  • 土屋 邦喜, 坂本 央, 冨重 治, 川村 秀哉
    2010 年 59 巻 2 号 p. 268-270
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    脊椎内視鏡手術(全例腰椎)を施行した初期30例を検討した.内訳は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)9例,腰部脊柱管狭窄症(LCS)21例であった.顕微鏡手術への変更は計5例であった.LDHの1例,LCSの1例でオリエンテーション不良にて顕微鏡手術への変更を行った.LDHの一例,LCSの2例に神経根肩部の硬膜損傷が生じ顕微鏡下に縫合を行った.術後全例神経症状は改善し,神経合併症は認めなかった.1例に術後創部血腫を認め局所穿刺にて対処したがその他の術後合併症は認めなかった.脊椎内視鏡手術は基本的には小侵襲であるが使用できる器具や操作範囲の制限から特にLCSで初期には十分な除圧が困難な場合があった.初期に経験した問題点をふまえ脊椎内視鏡の適応,手術を困難にする要因,手技上の工夫等に関し検討する.
  • 永吉 隆作, 井尻 幸成, 坂本 光, 山元 拓哉, 米 和徳, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 271-274
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】当院では2006年より腰部脊柱管狭窄症で固定術を要さない症例に対しては,傍脊柱筋を温存する観点からMILD法による除圧術を行ってきた.今回,本法の短期成績を調べ問題点を検討した.【方法】対象は本法にて手術を行い,1年以上経過観察可能であった18例とした.平均年齢は71.6歳,手術椎間は平均1.8椎間であった.手術時間,術中出血量,術前後におけるJOAスコア,動態レントゲンによる不安定性の有無を調査し検討した.【結果】手術時間は平均184分,出血量は1椎間あたり平均32gであった.術前のJOAスコアは平均13.3点,術後は18.1点であった.平林の改善率にて50%以上の改善が得られた症例は7例,術後にすべりの出現や症状の遺残などの理由から再手術を行った症例を3例認めた.【結論】MILD法は傍脊柱筋を温存する観点では有用な術式であるが,棘突起や棘上・棘間靭帯などの後方支持組織に対しては侵襲を伴うため,適応を再考する必要があると考えられた.
  • 福島 克彦, 後藤 啓輔, 井上 篤, 田島 直也, 久保 紳一郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 275-278
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】PLIFは不安定性を伴う腰椎疾患に対して除圧と椎体間固定が行えるすぐれた術式である.PLIF後骨癒合不良因子を検討したので報告する.【対象と方法】2005年2月から2007年4月にPLIFを施行し術後1年を経過した58症例を対象とした.これらの症例に対し,検討項目として年齢・性別・固定高位・手術時間・出血量・椎間板摘出量・術前後Hb変化・身長・体重・BMIと,目的変数を骨癒合の有無とした統計学的骨癒合不良因子につき検討した.解析方法は,個々の説明変数に対し単変量解析を施行した.次に,説明変数に対し目的変数を骨癒合の有無としたロジスティック多変量解析も施行した.【結果】術後1年の骨癒合は52例の89%であった.各群間の単解析・ロジスティック多変量解析の結果,L5/S固定高位は,骨癒合不良因子において統計学的有意差をみとめ骨癒合が不良だった.他の検討項目では有意差を認めなかった.
  • 森本 忠嗣, 小西 宏昭, 稲富 健司郎, 奥平 毅, 山根 宏敏, 津田 圭一
    2010 年 59 巻 2 号 p. 279-281
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    腰部椎間板ヘルニアに対する手術例411例を対象に,胸腰部肋骨の形態異常と腰仙部移行椎の関係について調査した.胸腰部肋骨の形態異常は第12肋骨の形成不全と腰肋に分類した.腰仙部移行椎の有無により,正常群,L4/移行椎群,L5/移行椎群に分類した.正常群の第12肋骨長径を計測し男女別で平均-2SDの値(男性5.4cm,女性3.6cm)以下を第12肋骨形成不全とした.第12肋骨形成不全の頻度は正常群6.4%,L4/移行椎群46%,L5/移行椎群2.7% であり,腰肋の頻度は正常群3.2%,L4/移行椎群0%,L5/移行椎群32.5% であった.L4/移行椎群は他の2群に比し有意に第12肋骨形成不全の頻度が高く,L5/移行椎群は他の2群に比し有意に腰肋の頻度が高かった(P<0.05).胸腰椎移行部で生じた肋骨の形態異常を腰仙椎が移行椎として補い5椎に帰する働きの存在が示唆された.
  • 樫原 稔
    2010 年 59 巻 2 号 p. 282-284
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性で,腰痛と左下肢痛を主訴に当科受診し,MRIでL5/S1椎間レベルに脊柱管内の嚢腫様陰影を認めた.椎間関節造影は行わなかった.手術はL5椎弓を両側切除し,嚢腫を摘出した.嚢腫内には少量の漿液性の成分と凝血塊を伴っていた.病理組織像で嚢腫壁は黄色靭帯を含む膠原繊維が豊富な硝子化線維組織からなり,lining cellは認めなかった.嚢胞腔形成や粘液変性のようなガングリオンに特徴的所見はなく,椎間関節から発生した滑膜嚢腫と診断した.椎間関節近傍の嚢腫はlining cellの有無や椎間関節との連続性の有無で滑膜嚢腫かガングリオンか診断されていたが,術中所見や病理所見だけでは鑑別困難な例もある.本症例のように椎間関節造影が行われていないことが多く,嚢腫と椎間関節が連続性のないというまとまった報告はなく,滑膜嚢腫もガングリオンも椎間関節から発生するものと考えられた.
  • 矢倉 知加子, 濱本 佑樹, 林原 雅子, 谷島 伸二, 谷田 玲, 近藤 康光
    2010 年 59 巻 2 号 p. 285-288
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【症例】1歳女児.1カ月前から上気道炎にて前医で加療を受けていた.左上肢を動かさなくなったため,当院救急外来を受診された.肘内障の診断で徒手整復を受けた.翌日,肺炎の診断で当院小児科に入院となり,治療を開始された.肺炎の症状は改善するも,高熱が持続し,左上肢を動かさないため,当科に受診された.初診時,左肩関節に腫脹と熱感を認めた.MRIにて肩関節内に水腫を認めた.理学所見と画像所見から化膿性肩関節炎と診断した.同日切開,排膿を行った.術後はPAPM/BPを投与した.術後,肩関節炎は顕著の改善し,第15病日に退院となった.退院後,CCL内服を3カ月行った.術後1カ月の単純レントゲン像で上腕骨頭の不整像が出現し,現在も残存しているが,左肩関節の可動域制限は認めず,MRIでは関節炎の所見はない.術後7カ月の時点で感染の再燃は認めていない.
  • 田畑 聖吾, 西里 徳重, 畠 邦晃, 坂本 公宣, 池邊 顕嗣朗, 松下 任彦, 愛甲 康
    2010 年 59 巻 2 号 p. 289-292
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】先天性膝関節脱臼は出生10万に対し1例と稀な疾患である.今回我々は基礎疾患のない2例を経験し保存的治療にて良好な結果を得られたので報告する.【症例】2例3膝.2例とも女児.初診時年齢は生後7日と14日であった.2例ともに基礎疾患は認めなかった.2例共に頭位自然分娩で出生した.2例ともにDrehman分類3度の脱臼であった.初診時脱臼位であった両側例は徒手整復後にギプス固定を行いその後,Riemenbugel装具の装着を行った.整復されていた症例では屈曲位でギプス固定とした.【結果】2例ともに完全屈曲を得られた.膝の不安定性も認めず,良好な結果が得られた.【考察】基礎疾患のない先天性膝関節脱臼の治療として早期の徒手整復,ギプス固定,Riemenbugel装具の装着は有効な治療法であった.膝関節の不安定性出現の可能性があり今後長期経過観察が必要である.
  • 柳園 賜一郎, 樋口 誠二, 近藤 梨紗, 勝嶌 葉子, 門内 一郎, 川野 彰裕
    2010 年 59 巻 2 号 p. 293-295
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当センターにおいて脳性麻痺患者の歩行評価に三次元歩行分析装置を使用してきた.Gillette Gait Indexは以前normalsy indexと呼ばれていた数値で,歩行分析結果の時間距離因子,運動学的データの中から16項目を抽出し,正常との比較を行い点数化した値である.
    脳性麻痺歩行障害の歩行分析で近年よく使用され,麻痺の程度や治療前後の比較が可能とされている.今回我々は当センターで得られた正常データを用いてGGIの評価を行ったので文献的考察を加えて報告する.【対象・方法】脳性麻痺片麻痺患者2例(Winters分類のグループ1と4)に対して歩行分析を行い,GGIを算出した.【結果】麻痺の程度の強いグループ4の症例の方がGGIは高い値を示した.また治療によりGGIの改善がみられた.【考察】GGIは歩行の客観的評価として最もよく使用される数値であり,今後患者の治療前後の変化,経年的な歩容の変化をとらえるうえでも有用であると思われた.
  • 勝嶌 葉子, 近藤 梨紗, 樋口 誠二, 門内 一郎, 川野 彰裕, 柳園 賜一郎
    2010 年 59 巻 2 号 p. 296-300
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【はじめに】脳性麻痺片麻痺患者において尖足拘縮はよくみられる障害であり,それに対して行われるアキレス腱Z延長術は有用な手術の一つである.今回我々は,脳性麻痺片麻痺患者に対しアキレス腱延長術を行い,その前後で歩行分析評価を行った.【対象・方法】7歳男児,脳性麻痺・左片麻痺の診断で,当センターにて理学療法を行い,普通小学校へ徒歩で通学する1例.アニマ社製三次元動作分析システムMA2000,フォースプレートMG-1090を用いて評価し,正常成人データと比較検討した.術前,術後4カ月,術後1年での分析結果を検討した.【結果・考察】術後4カ月で運動力学的に足関節のパワー・モーメントのパターンが正常化し,膝関節のパターンも改善した.時間距離因子・力学的ピーク値の低下は術後1年で回復した.
  • 岸本 勇二, 岡野 徹, 萩野 浩, 豊島 良太
    2010 年 59 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】単純X線以外の画像検査が診断・治療に有用であった関節リウマチ(RA)症例を報告する.【症例1】66歳,男性.左手関節の単関節炎が遷延していた.左手関節MRIで滑膜炎,骨びらん,および骨髄浮腫を認め,単関節炎型RAと診断,メトトレキサートを開始したところ,関節炎は改善した.【症例2】44歳,女性.Sjögren症候群の治療歴がある.多関節の疼痛を認めるも腫脹はなく,非特異的な関節痛との鑑別を要したが,FDG-PETにて肩・肘・指節関節に集積を認め,滑膜炎の存在が示唆されたため,RAと診断した.【症例3】41歳女性.指節関節を中心としたRAで,炎症反応検査値は基準値上限をわずかに上回る程度であり,疾患活動性の客観的マーカーに乏しかったが,指節関節の超音波検査にて,滑膜炎とその血流シグナルを追跡したところ,メトトレキサート増量後に血流シグナルの減少を認め,治療効果判定に有用であった.
  • 山内 貴敬, 當眞 嗣一, 金城 聡, 岳原 吾一, 金谷 文則, 安里 潤
    2010 年 59 巻 2 号 p. 306-309
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【症例】28歳男性,警察学校の訓練中に左母指を屈曲強制され受傷した.近医にてMP関節掌側脱臼と診断され,手関節ブロック下に徒手整復が試みられたが整復不能なため同日当院へ紹介された.手術所見では,背側関節包が長母指伸筋腱の尺側縁に沿って断裂しており,関節包の操作中に脱臼は容易に整復された.長・短母指伸筋腱に断裂はなかった.MP関節は橈屈動揺性が著明で,尺側側副靭帯は断裂しStener lesionを認めた.尺側側副靭帯およびexpansion hoodを修復し,橈屈動揺性と易脱臼性は消失した.術後3週間母指ギプス固定の後,自動運動を開始した.術後4カ月時MP関節の動揺性は認められず,可動域制限も認めなかった.母指MP関節掌側脱臼は比較的稀な外傷であるが,背側関節包が整復阻害因子となる場合や尺側側副靭帯断裂合併例では,観血的整復術が必要となる.
  • 大城 朋之, 宮里 剛行, 城田 真一, 林 宗幸, 大城 義竹, 米須 寛朗, 上里 智美, 嘉手川 啓, 盛島 秀泉, 友寄 英二, 金 ...
    2010 年 59 巻 2 号 p. 310-313
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術(以下TKA)後の関節可動域(以下ROM)を調査しそれに影響する因子について検討した.対象は2003年から2005年に変形性膝関節症に対しTKAを行った術後患者75名(男14名,女61名),99膝(右49膝,左50膝)とした.そのうち24名が両側例であった.平均年齢72.8歳(56~85歳),平均観察期間は21.1カ月(6~37カ月)であった.術前ROM,年齢,性別が術後ROMに及ぼす影響を評価した.その結果,術前ROMと術後ROMの間に正の相関関係を認めた.また年齢,性別は術後屈曲角度と相関は認めなかった.術前ROMはTKA術後のROMに影響する因子のひとつと考えられ術前ROMを良好に保つことが重要と思われた.
  • 北城 梓, 中村 英智, 吉田 健治, 田中 憲治, 西田 俊晴, 吉松 弘喜, 田中 順子, 中村 秀裕, 後藤 琢也, 山下 寿, 井上 ...
    2010 年 59 巻 2 号 p. 314-318
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    先天性膝関節脱臼は,比較的まれな疾患である.我々は,1995年から2005年までの10年間に,9例の症例を経験した.5例に,愛護的な整復と外固定を行った.Larsen症候群の,症例では手術を施行した.3例は約3年間,経過観察のみ行った.4例では股関節脱臼を併発しており,1例は経過中に発症した.結果的に膝関節脱臼の再発例はなかった.しかしLarsen症候群の症例では,膝関節の不安定性が残存した.その他の症例では,予後は良好であったが,今後も長期的な経過観察が必要である.
  • 森本 忠嗣, 重松 正森, 園畑 素樹, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2010 年 59 巻 2 号 p. 319-322
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    日本脊椎脊髄病学会より腰部脊柱管狭窄の早期診断を目的として腰部脊柱管狭窄診断サポートツールが作成された.チェック項目には下肢症状などを含むため,変形性股関節症などの下肢疾患も腰部脊柱管狭窄疑いとして検出されることが危惧される.人工股関節全置換術を行った変形性股関節症169例(男:女=28:141,平均年齢64(43-89)歳)を対象に腰部脊柱管狭窄診断サポートツールにて調査し,腰部脊柱管狭窄疑いと検出される頻度(検出率)を求め,腰部脊柱管狭窄診断サポートツールの妥当性を検証した.病歴と問診の項目のみでは検出率は39%であったが,身体所見を加味すると33%となった.病歴と問診の項目での検出率の高さは,両疾患の患者背景や自覚症状の類似性を反映し,身体所見(理学所見)による検出率の低下は腰部脊柱管狭窄診断サポートツールの身体所見の項目が股関節疾患との鑑別に有用であることを示唆している.
  • 島袋 孝尚, 安里 英樹, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 2 号 p. 323-327
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    腱板断裂術後97例中,3例に複合性局所疼痛症候群(以下CRPS)type Iが発症した.CRPS type Iと診断された後,星状神経節ブロックを施行した.ブロック後,2例は疼痛改善したが,1例は疼痛が残存した.術後のCRPSは早期診断,早期治療が有用と考えられた.
  • 森口 昇, 張 瑞棠, 後藤 久貴, 川原 俊夫, 鈴木 暢彦, 佐々木 信
    2010 年 59 巻 2 号 p. 328-332
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    【はじめに】我々は高齢者でも背側転位のある橈骨遠位端骨折に対して,鋼線髄内ピンニング法を行ってきた.その手技と治療成績を報告する.【対象と方法】対象は術後8カ月以上経過した症例21例(男性3例,女性18例)で,受傷時平均年齢は73歳.骨折型はAO分類でA2:3例,A3:9例,B2:3例,C1:4例,C2:2例であった.手術は主に2.0mm K-wireを2本用い,1本は橈骨背尺側より,もう1本は橈骨茎状突起より刺入し,そのまま髄腔内へ挿入.K-wireを互いに反張させるよう髄腔内でX型を形づくった.術後外固定はせず,早期運動を開始した.【結果】X線学的評価は術直後,最終観察時でvolar tiltは平均8.1°,8.6°,radial inclinationは平均22.8°,23.2°,ulnar varianceは平均2.0mm,3.3mmであった.Cooneyの機能評価でexcellent:17例,good:3例,fair:1例であった.【考察】本法は骨粗鬆症のある高齢者でも術後の整復位が保たれ,拘縮を作りにくく,有用な治療法と考えられた.
  • 林 武, 碇 伸博, 伊崎 輝昌, 舌間 崇士, 斎田 光, 井上 敏生
    2010 年 59 巻 2 号 p. 333-336
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis:以下PVS)は,比較的稀な疾患で膝関節に発生することが多い.今回我々は,膝関節内に発生したPVSにより嵌頓症状をきたした1例を経験したので報告する.症例は60歳女性,左膝を捻った直後から嵌頓症状が出現した.半月板損傷を疑いMRIを施行したところPVSが疑われたため鏡視下手術を施行した.手術時,顆間部にPVSを思わせるような腫瘍性病変を認め,プロービングにより外側コンパートメント内に嵌頓する可能性が示唆されたためこれを摘出した.現在術後8カ月目であるが再発の兆候は認めず,膝の可動域制限や疼痛も認めていない.
  • 今村 尚裕, 副島 修, 中川 広志, 柳 志津, 西尾 淳, 野田 大輔, 内藤 正俊
    2010 年 59 巻 2 号 p. 337-340
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    General Joint laxityを基盤とした両側母指CM関節亜脱臼障害に対して,Eaton-Littler法による靭帯再建術を経験したので報告する.術後,両側母指CM関節の不安定性は消失,母指CM関節痛,ピンチ力の改善を認め,日常生活に問題がない程度まで回復したが,両母指MP関節の過伸展,疼痛が出現した.General Joint laxityが基盤にある症例では術前よりMP関節の不安定性が認められ,CM関節矯正後にMP関節の代償性過伸展が生じる可能性があり,MP関節に対する処置を同時に行う必要性が示唆された.
  • 大久保 宏貴, 赤嶺 良幸, 堀切 健士, 岳原 吾一, 普天間 朝上, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 2 号 p. 341-345
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    Carpal Bossとは第2,3中手骨基部の骨性隆起のことで,その発生原因として定説はない.成因として手根骨癒合症が疑われたcarpal bossの1例を報告する.症例は11歳,女児,左利き.出生,発育,発達に問題はなかった.半年前より誘因なく,右手関節背側部に疼痛を自覚し,症状が継続するため当院を受診した.第3中手骨基部に骨性隆起を触知し,同部位に軽度の圧痛と手関節背屈時に疼痛が誘発された.CT像にて第3中手骨基部と有頭骨の背側,橈側に鳥の嘴状の骨性隆起を認めた.安静目的に手関節装具を装着したが疼痛が残存したため切除術を施行した.骨性隆起を関節軟骨が確認できるまで切除した.明らかな腱との癒着や滑膜炎はなかった.術後3カ月で疼痛は消失した.病理所見は第3中手骨,有頭骨それぞれの骨組織が線維軟骨組織を介して連続していた.この所見は非骨性足根骨癒合症の病理所見に酷似していた.
  • 鍋島 央, 山口 徹, 志田 純一, 上ノ町 重和, 濱田 貴宏, 西田 顕二郎, 時任 毅, 有薗 剛
    2010 年 59 巻 2 号 p. 346-348
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は49才男性.約1年前より下肢の痺れを自覚し,症状は徐々に進行し痺れは下腹部にまで増悪した.MRIではTh5~7レベルにT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,Gd造影でほぼ均一に増強される脊髄硬膜外腫瘍を認めた.また右椎間孔より突出しdumbbell型を呈していた.腫瘍全摘出にて症状は改善した.病理診断は海綿状血管腫であった.椎体発生でない脊椎硬膜外海綿状血管腫は比較的稀であり,画像上特異的な所見に乏しく術前診断は困難であった.硬膜外腫瘍の鑑別診断に本疾患を念頭に置くことが重要と考えられた.
  • 鬼木 泰成, 中村 英一, 西岡 宏晃, 田中 あづさ, 水田 博志
    2010 年 59 巻 2 号 p. 349-352
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    予防接種後に発症した反応性関節炎と考えられた一例を報告した.症例は17歳,男性.現病歴は発症6週間前の麻疹・風疹混合ワクチンの接種歴があった.約1週間前より誘因なく右股関節に疼痛と腫脹が出現し,38度台の発熱が持続するため,当科外来を受診した.右股関節に腫脹,圧痛,可動域制限を認めた.血液検査にて炎症反応の上昇を認めた.画像検査では特異的な異常所見は認めなかった.股関節関節液は混濁し,細胞数の上昇を認めた.化膿性股関節炎を疑い,切開排膿を行ったが炎症反応の低下は乏しく,発熱も持続した.その後,右膝関節に腫脹が出現した.移動性の関節炎,関節液培養検査陰性とその後施行した血液検査にてHLA-B27陽性であったことから予防接種後に発症した反応性関節炎と診断した.抗生物質の中止とNSAID投与をしたところ,症状は改善した.
  • 佐々木 威治, 山田 圭, 朴 珍守, 佐藤 公昭, 井上 英豪, 本多 弘一, 吉田 龍弘, 永田 見生, 中尾 真子, 藤丸 卓也, 平 ...
    2010 年 59 巻 2 号 p. 353-357
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    脊椎脊髄手術を施行した97例中36例に術後フェンタニル持続皮下注入法[20μg/h](フェンタニル群),43例に塩酸モルヒネ持続皮下注入法[1 mg/h](モルヒネ群),18例に患者の疼痛の訴えに応じてNSAIDsやブプレノルフィン坐薬ないし,ペンタゾシン筋注による鎮痛処置(従来群)を行った.術後の疼痛の程度をWong & Bakerのface scaleで看護師が術後24時間まで記録した.術後6時間毎の疼痛平均点数では術後18時間までフェンタニル群は従来群よりも鎮痛効果が優位に優れていた.合併症ではモルヒネ群に頻度の多い悪心・嘔吐,刺入部皮膚障害,便秘・腹満がフェンタニル群では有意にこれらの合併症頻度が低かった.しかしフェンタニル群では塩酸モルヒネ群・従来群と比較して有意に呼吸障害が多かった.呼吸障害を呈した11例のうち2例はフェンタニル投与を中止した.術後急性期の鎮痛にフェンタニル持続皮下注入法は有効だが,SaO2モニター,呼吸数を慎重に経過観察していく必要がある.
  • 屋良 卓郎, 佐々木 宏介, 有馬 準一, 中野 壮一郎, 田中 孝幸, 野村 裕, 東野 修, 櫻庭 康司, 大賀 正義
    2010 年 59 巻 2 号 p. 358-361
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は86歳男性.変形性膝関節症に対しセメントレス人工膝関節置換術(以下TKA)を行い,術後11週目にMRSA感染に対する初回の掻爬・洗浄を行った.初回掻爬・洗浄後4カ月で感染再燃したため,2度目の掻爬・洗浄後に持続灌流を行った.しかし感染鎮静化せず,最終的にインプラント抜去しバンコマイシン含有セメントスペーサーを挿入した.大腿骨コンポーネント抜去時に大腿骨側前方および遠位に巨大な骨欠損を生じた.感染が鎮静化したインプラント抜去後4カ月で2期的再置換術を行った.骨欠損にはmetal augmentation,人工骨にて対処した.再置換術中,膝蓋腱が脛骨粗面付着部で断裂したため修復した.現在再置換術後1年5カ月であるが感染再燃は認めていない.伸展-5度,屈曲95度,extension lag 5度で1本杖歩行している.
  • 石井 武彰, 白仁田 厚, 平本 貴義
    2010 年 59 巻 2 号 p. 362-367
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    若年者のFreiberg病に対して骨軟骨片固定術および中足骨短縮術を施行した1例を報告する.症例は13歳男性.中学校でテニス部に所属して半年後より右第2趾MTP関節に疼痛が出現した.右第2趾MTP関節背側に圧痛・腫脹があり,可動域制限を認めた.X線像で中足骨頭の扁平化を認めGauthier & Elbaz分類Stage 2のFreiberg病と診断した.5ケ月間の足底挿板,スポーツ禁止による保存療法を行ったが疼痛・腫脹の改善なく,X線像で中足骨頭背側部の圧潰の進行を認めたため手術を行った.骨頭復元を目的として病巣掻爬,骨移植,骨釘による骨軟骨片固定術を行い,次いで中足骨短縮術を行って骨頭の除圧を図った.術後1年時で疼痛・腫脹なくX線像で中足骨頭は修復されている.骨端線閉鎖前の進行するFreiberg病に対して本術式は有効な方法と思われる.
  • 久芳 昭一, 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 穂積 晃, 前田 和政, 松村 陽介
    2010 年 59 巻 2 号 p. 368-371
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    胸腰椎圧迫骨折の臨床経過と予後予測について検討を行った.過去2年間で受傷早期に来院し入院治療を行った43例50椎体(男性15例,女性28例)を対象とした.3カ月以上の疼痛持続の有無とX線学的に椎体圧潰率,局所後弯を受傷時と最終観察時に計測し,受傷時MRI(T1強調像),年齢,性別,受傷時椎体圧潰率,受傷時後弯度,損傷部位,受傷機転との関連を検討した.疼痛持続,椎体圧潰進行はMRI像の後壁損傷と男性症例に関連を認めた.後弯進行はMRI像の後壁損傷に関連を認めた.胸腰椎移行部の損傷は有意に椎体圧潰が進行していた.
  • 朝倉 透, 土井 俊郎, 播广谷 勝三, 松本 嘉寛, 岩本 幸英
    2010 年 59 巻 2 号 p. 372-375
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎炎に伴う後弯変形に対して矯正骨切り術(closed wedge vertebral osteotomy)を施行した一例を報告する.症例は49才男性.25才時に強直性脊椎炎と診断され,42才時に前医にて腰痛・神経痛に対し除圧固定術(L4-S1)を施行された.その直後にL2圧迫骨折を生じ,徐々に腰痛は増悪し後弯変形のために前方水平視が困難となってきた.47才時に当科を初診.腰痛のため5分以上の立位保持が不能であり,全脊椎の可動性は消失し,前方水平視は不可能であった.本症例に対してL2椎体矯正骨切り術・後方固定術(T8-S1)を施行した.術後,歩容は著しく改善し,前方水平視が可能となった.X線上L1-L3の後弯角は39°から前弯10°へと49°の矯正を認めた.またChin-brow to vertical angleは術前45°から術後8°へと改善した.Closed wedge vertebral osteotomyは,楔状に椎体の骨切りを行い椎体前方は開大せずに後方を短縮させる方法である.重篤な合併症である大血管損傷が生じにくい利点を有し,比較的安全な方法であると考えられた.
  • 矢野 英寿, 井原 和彦, 島田 信治, 別府 達也, 河合 浩二, 竹下 都多夫, 佐藤 陽昨, 田中 博子
    2010 年 59 巻 2 号 p. 376-378
    発行日: 2010/03/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    弾発股の多くは疼痛が軽く,また保存的治療が奏功する.しかしながら稀に疼痛が持続し,手術を要することがある.1997年から2003年までに当院で手術的加療を行った3例を報告する.2例は男性,1例は女性,平均年齢は25歳であった.全例局所麻酔下にZ形成を行い,疼痛及び弾発現象は消失し再発を認めなかった.局所麻酔を用いることは術中弾発を再現でき,有用であると思われた.
feedback
Top