整形外科と災害外科
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観血的整復を要した母指MP関節掌側脱臼の1例
山内 貴敬當眞 嗣一金城 聡岳原 吾一金谷 文則安里 潤
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2010 年 59 巻 2 号 p. 306-309

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抄録

【症例】28歳男性,警察学校の訓練中に左母指を屈曲強制され受傷した.近医にてMP関節掌側脱臼と診断され,手関節ブロック下に徒手整復が試みられたが整復不能なため同日当院へ紹介された.手術所見では,背側関節包が長母指伸筋腱の尺側縁に沿って断裂しており,関節包の操作中に脱臼は容易に整復された.長・短母指伸筋腱に断裂はなかった.MP関節は橈屈動揺性が著明で,尺側側副靭帯は断裂しStener lesionを認めた.尺側側副靭帯およびexpansion hoodを修復し,橈屈動揺性と易脱臼性は消失した.術後3週間母指ギプス固定の後,自動運動を開始した.術後4カ月時MP関節の動揺性は認められず,可動域制限も認めなかった.母指MP関節掌側脱臼は比較的稀な外傷であるが,背側関節包が整復阻害因子となる場合や尺側側副靭帯断裂合併例では,観血的整復術が必要となる.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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